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きめ細かな指導により18年振りに進路未定者ゼロ
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中高連携を強化する一方、高校では3年生に対して個に合わせたきめ細かい指導を行った。
まず就職が重要という認識から、進学希望者には生徒と話し合いながら大学・短大・専門学校の卒業後の目標を立てさせ、それに結び付くような学問分野を指導するようにした。例えば、専門学校志望者に対しては、三者面談を通して資格取得など就職に実効性のある志望校を選ぶように指導した。更に、生徒の進路志望情報を教師全員が共有し、課外授業のほかにも、教科学力・面談・作文などの入試形式に合った個別指導で、担任や教科担任が徹底的に鍛え上げた。
就職希望者に対しては、三者面談を重ねて希望の職種・地域を5月までにほぼ決定させ、このデータを基に進路指導部が同窓生の紹介などによって就職先を開拓した。企業によっては、生徒は夏休みに1週間ほど職場体験をさせてもらい、生徒の就職に対する不安を取り除くと同時に、企業・生徒双方のマッチングを図った。福原先生は、小規模校のメリットを最大限に生かした指導ができたと胸を張る。
「本校は1学年80人程度の小規模校ですから、一人ひとりの適性、能力、希望をしっかりと見て指導できるのが強みです。面談を重ねる中で、生徒に明確な希望を描かせるようにしたのがよかったのでしょう。教師も具体的に何をすればよいのかがわかり、指導にも熱が入りました」
08年3月、喜界高校の卒業式は希望に満ちあふれていた。卒業生80人全員が進学または就職を決めて巣立っていったのだ。進路未定者がゼロとなったのは、18年振りのことだった。更に同年7月には、朗報がもたらされた。三つの中学校の生徒に進路希望調査を行ったところ、3年生93人中92人が同校への進学を希望していたのだ。ここ数年、3校からの進学者が年々減り続け、成績上位層が島外の進学校に流出していただけに、同校の喜びもひとしおだった。
「生徒の進路保障の重要性を改めて認識しました。実際の入学者数はわかりませんが、現時点でほぼ全員が本校への進学を希望したという事実は、本校の取り組みが評価されたと自信になりました」(肥後先生)
同校は離島にあり、教師は3~6年で異動する。取り組みを形骸化させず実効性あるものとして続けるために、構築した指導法を継続できるようにしていくことが今後の課題となる。
「中高間での情報交換が本格的になり、これまで以上に中高の教師が協力して『我が島の子どもたちを育てよう』という意識が高まっています。これからも地域から信頼されるよう、努力を重ねていきたいと思います」(山下教頭) |
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