未来をつくる大学の研究室 幹細胞医学

河瀬聡

河瀬聡さん

かわせ・さとし
慶應義塾大大学院医学研究科生理系専攻生理学博士課程2年(千葉県・私立市川学園高校卒業)

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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大学院生が語る

神経の発生現象を明らかにし 難病治療に生かしたい

研究のきっかけ
身近な未知の世界にロマンを感じた

 中学時代には宇宙の原理を解明したいという夢を抱いていました。しかし、高校で生物を学ぶうちに、動物や人体の構造についても、解明されていないことが多くあると知り、新鮮な驚きを感じました。身近なところに未知の世界が広がっている、しかも宇宙と違って、実験を通して目の前で実証できるという点に魅力を感じ、大学では生物分子科学を専攻しました。
 大学院の修士課程修了後、理化学研究所に就職しました。テクニカルスタッフとして、4年間、幼児期の神経がどのように発達するのかを研究しましたが、その過程で新たな疑問がわいてきました。そもそも幹細胞はどのようなメカニズムで神経に変わるのだろうか……。私は博士号を持っていなかったため、自分が主体となって研究を進めることができないことに欲求不満を感じるようになり、博士課程への進学を決意しました。
 現在、私は神経幹細胞の中の「Musashi」と呼ばれるたんぱく質について研究しています。通常、神経幹細胞は、成人になると新たな細胞をほとんど生み出さなくなります。しかし、「Musashi」と神経幹細胞の活性には相関があるので、「Musashi」を活性化することができれば成人になってもより多くの神経細胞を生み出せる可能性があり、神経系の疾患などを対象とした再生医療の切り札になると期待されています。
図

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