特集 新課程のポイントと高校教育への影響
及川 満

▲岩手県立盛岡第一高校

及川 満

Oikawa Mitsuru

進路指導主事。数学担当

臼田浩一

▲東京都立日比谷高校

臼田浩一

Usuda Hirokazu

進路指導部長。生物担当。

宮野原章史

▲宮崎県立宮崎大宮高校

宮野原章史

Miyanohara Akihumi

進路指導部長。英語担当。

秋元達也

▲鹿児島県立鶴丸高校

秋元達也

Akimoto Tatsuya

進路指導課主任。国語担当。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【座談会】

新課程に高校現場はいかに向き合うべきか

高校の新課程は、学習内容の増加や「言語活動の充実」「活用の重視」など、
義務教育での改訂とも連動している。
新課程は高校現場にどのような影響を与えるのか、実施前に必要な心構えとは何か、4人の先生に話を聞いた。

分厚くなる教科書の内容をどう指導するか

編集部  新課程をどのように評価していますか。
臼田  国語、数学、外国語で共通必履修科目が設定されるなど、全般的に必修化・共通化の流れが強まったと感じています。基礎的な知識は大学入学までにきちんと身に付けさせておくことが重要であり、必修化・共通化の流れは歓迎すべきものと思います。
 私の担当教科である理科の生物では、「遺伝」にかかわる単元の内容などに、今まで取り上げられていなかった高度な内容も明記されています。生物の教師にとってはかなり面白く、歯応えのある内容になったのではないでしょうか。教科書も現状より分厚くなるのではないかと聞いています。授業内容は質量共に充実するでしょう。
及川  数学は、共通必履修科目の「数学Ⅰ」を見ると、学習量が1単元分増えたという印象です。内容も高度になりました。3単位の時間の中ですべての内容を指導できるかどうかという不安はあります。ただ、前回までの改訂で内容がかなり減らされてきましたから、私が新任で教えていたころから考えると、指導が大変になるとは思いません。
秋元  国語では、「国語表現」との選択必履修だった「国語総合」が共通必履修科目になりました。表現にはそれを支える知識や技術が必要ですから、「国語総合」が共通必履修となって良かったと思います。
 また、言語表現のための知識や技能の重要性が強調されていることは評価しています。国語の中でも現代文に関しては勉強しても伸びないとよくいわれますが、決してそうではなく、「要約」のように技術が重要になる領域が少なくありません。国語の技術的な側面をしっかり意識して指導すれば、生徒の国語力は間違いなく伸びると思います。
宮野原  英語では、「英語Ⅰ」と「オーラルコミュニケーションⅠ」が再編され、「コミュニケーション英語Ⅰ」が共通必履修となりました。これは「今まで以上にアウトプットを大切にしなさい」というメッセージだと、私は捉えています。コミュニケーションは外国語教育の必須要素です。相手の考えを理解した上で、自分の意見を的確に伝える力の充実が目標に掲げられたことは評価します。また、英語を使う場面を増やす一方、学習すべき単語量も増加しています。
 全体的に見て「良いものはすべて取り入れた」改訂に見えます。内容を充実させることは確かによいのですが、一方でクラスサイズを小さくするなど、それを実現させるための条件整備が必要です。その点は、国や教育委員会に期待したいところです。

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