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全員参加の連絡会で改革の精神を継承
改革の精神を意識的に継承していることも、取り組みの形骸化を防ぐ重要な要素だ。毎年、新学期直前に行う「進路関係職員連絡会」では、転任者を含めて教師全員が集まり、午前中いっぱいをかけて、進路行事や模試、課外の計画、学校行事や部活動の遠征スケジュールの確認や調整などを行う。指導の目線合わせと共に、低迷期の苦難の日々を振り返ることによって、改革の精神を受け継ごうとしている。
「ここ6年間で、本校に長く在籍していた教師の大半が異動しました。新しく赴任した教師に、改革時の様子を伝える必要があると考えました」と上塚先生は話す。
連絡会では過去十数年分の進路実績を見せる。国公立大合格者数は、10年前まで毎年20人前後だったが、99年度以降はほぼ30~40人を維持している。同校の復活を象徴するデータを皆で見て、「あのころに戻してはならない」という思いを教師一人ひとりの胸に刻み込むのである。
また、進路関係職員連絡会やスタディーサポート検討会など、全教師で共有する「場」が多いことも、思いを継承しやすい環境になっている。丸谷先生は次のように話す。
「『教師全員ですべての生徒を見る』という思いが、低迷期を乗り切れたポイントの一つだと思います。新任や転任してきた先生方は、全員参加の連絡会や検討会、全員で取り組む3年生への個別指導の状況などを見て、その思いを実感し、意識を強めるようです」
部活動アンケートで加入率を高める
同校の部活動の加入率は、90年代初めは35%程度だったが、6年前には80%前後まで増えた。現在は90%以上の生徒が部活動に参加し、複数の部に在籍する生徒も増えている。加入率が高い理由は、1つには中学校との交流会で部活動の見学を積極的に展開していること。もう1つは、新入生宿泊研修での呼びかけがある。オリエンテーションで部活動参加の意義を説き、生徒にアンケートを取り、入部を希望する部と選んだ理由、目標や抱負などを記入させる。用紙は該当する部活動の顧問に渡し、後日、顧問自身が直接生徒に呼びかけたり、先輩から誘いの言葉をかけたりする。無記入の生徒に対しては、担任が声をかけ、部への加入を勧めることもある。
選んだ理由を書かせることによって、生徒自身が実際に部活動をしている様子をイメージしたり、目標を文字化することによって活動に対する意欲を喚起したりする効果も期待できる。いかに生徒の気持ちを高めるかということは、学習のみならず、部活動の活性化においても欠かせない要素のようだ。
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