指導変革の軌跡 千葉県立千葉東高校
千葉県立千葉東高校

千葉県立千葉東高校

◎「知育・徳育・体育」のバランスの取れた教育を志す伝統校。生徒のほぼ全員が大学進学を希望。近接する千葉大との高大連携を実施するほか、2007年度に2学期制、08年度に単位制を導入した。部活動も盛んで、生徒の加入率は92%に達する。

設立●1941(昭和16)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約320名

08年度進路実績●国公立大には千葉大49名、筑波大8名、東京大4名、東京工業大4名、お茶の水大4名など138名が合格。私立大には青山学院大、慶應義塾大、早稲田大、上智大、立教大、明治大、中央大など延べ825名が合格。

住所●〒263-0021 千葉県千葉市稲毛区轟町1-18-52

TEL●043-251-9221

WEB PAGE●http://www.
chiba-c.ed.jp/chibahigashi-h/


鈴木宏

▲千葉県立千葉東高校

鈴木宏

Suzuki Hiroshi
教職歴25年。同校に赴任して12年目。進路指導主事。「生徒に『わかる』ことの喜びを伝えるために、最大限の努力をしたい」

松本孝

▲千葉県立千葉東高校

松本孝

Matsumoto Takashi
教職歴27年。同校に赴任して5年目。総務部。「一人ひとりの生徒の夢を実現するための手助けをしたい」

山口久美

▲千葉県立千葉東高校

山口久美

Yamaguchi Kumi
教職歴23年。同校に赴任して8年目。進路指導部。「生徒の成長こそが原動力。成長をもたらすために、今、何をすべきかを考えています」


VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡116


千葉県立千葉東高校「柔軟性のある進路指導の導入」

「柔構造」が学校の活性化を生み
生徒との信頼関係を構築する

● 実践のポイント
学年団が中心となり進路指導を展開
「目線合わせ情報」を時期ごとに提供し、 面談を充実させる
夏期講習の予定表を早めに提示し、 学校を学習の場とさせる

教師の意識を変えわずか数か月で成果を上げる

 「教師の進路に対する問題意識がばらばらだったことが、一番の問題だったと思います」
 千葉県立千葉東高校の進路指導主事・鈴木宏先生は、以前の進路指導をそう振り返る。
 同校は、2003年10月、千葉県教育委員会から進学指導重点校に指定されたことを機に、進路指導を抜本的に見直した。その成果は、教師の予想を大きく超えるものだった。02年度から04年度卒業生の進学実績の推移を見ると、国公立大の現役合格者数は59人→78人→106人、現役進学率も54%→58%→69%と、毎年伸びている(図1)。

図1

 同校にとって、この進学実績の向上は「復活」といえるものだった。かつては現在と同じくらいの進学実績を上げていた。しかし、平成に入ってから国公立大合格者数の減少が続き、浪人する生徒が増えていった。同校の進路指導は担任が個々に取り組むものを中心としていたが、学区内の私立校が台頭して入学者層が変化したために、従来通りの進路指導のスタイルが合わなくなっていったのだ。
 ところが、教師の問題意識は集約されていなかった。進学実績の総数は落ち込んでいたが、難関大には依然として一定数が合格していたからだ。異動によって進学校での進路指導を初めて経験するという教師が増えたことも、問題意識がまとまりにくい要因の一つだった。
 そうした同校にとって、進学指導重点校の指定は大きな転機となった。手探りの中、「他校のよい取り組みを参考にしよう。本校に合わせて取り入れていけばよい」という方針を取り、改革を進めた。後述する「新旧担任会」「ポジティブ制度」などは、他校を参考にした取り組みだ。そして、以前から課題を感じていた教師たちが「重点校になったのだから」と改善を呼びかけ、校内全体の意識を高めていったことが、一番の大きな変化だった。
 教師の意識変革は、03年度卒業生の進学実績にも表れた。具体的な活動を始めたのは04年度だが、03年度の3年生に対しても、面談や集会を通して意識付けを強化した。その結果、わずか数か月間の指導にもかかわらず、進学実績が伸びたのだ。
 当時から進路指導を担当する山口久美先生は、「『真剣に学ぼうとする生徒達なので、少しアドバイスをするだけで成果につながる』と実感し、04年度からの取り組みに弾みがつきました」と話す。


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