指導変革の軌跡 千葉県立千葉東高校
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「目線合わせ情報」で時期に応じた面談のポイントを共有

 取り組みの柱の一つである面談には、「柔構造」の考え方を取り入れた。改革前から、3年生では年3回の生徒面談と年2回の保護者面談を実施していた。しかし、進路についての踏み込んだ話し合いにならず、志望校の確認や一般的な受験の心得指導にとどまることが多かった。通り一遍の面談になっていた最大の要因は、教師が効果的な面談の進め方を知らなかったことにあった。そこで、進路指導部は、各時期に応じた面談のポイントを「目線合わせ情報」としてプリントにまとめ、担任に配付した(図2)。07年度に3学年主任を務めた松本孝先生は、次のように話す。
図2

 「『目線合わせ情報』によって、どのようにすれば生徒の本音や悩みに迫り、指導の効果を上げられるかがわかり、どの担任も生徒の実態に即した面談をできるようになりました」
 例えば、資料では志望校の順位に関して、難易度と志望順位に整合性が取れていないときは、そこに生徒の真意が隠れている場合が多いと指摘している。
 「第3志望の欄に『東京大』と、第1、2志望よりも難易度の高い大学を書いてくる生徒がたまにいます。自信のなさや気恥ずかしさが理由だと思います。以前なら、本当は東京大に入りたいのだなと感じても踏み込んだ指導はしませんでした。でも今では、志望順位を改めて確認し、本来の第1志望を目標にして頑張らせるようにしています」(松本先生)
 「気になる生徒がいたら、随時、面談を行うという考え方が、自然と校内に広まりました。今では平均して生徒1人当たり年間5、6回は面談をしています」(山口先生)
 二つめの柱は実力試験だ。同校では、3年生対象の校内実力テストを全5回実施している。更に、任意で校外模試を5回受けるように促し、合計で年10回を受験するよう指導する。生徒に自分の学力を把握させると共に、指導に必要なデータをきちんと蓄積するためだ。また、自分の弱点を把握することで、今自分が何をやるべきかを具体的にし、生徒を精神的に落ち着かせるねらいもある。
 校内実力テストの学年全体および学級ごとのデータは進路指導部と学年団で共有し、補習の実施などを検討する材料にしている。進路指導部は、担任用に「目線合わせ情報」として実力試験の結果分析法や生徒への指導法をまとめ、生徒の面談に生かしてもらっている。また、模試の合格判定欄を見て生徒の志望校を把握し、適宜、その大学に入った卒業生を紹介するといった活用もしている。


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