VIEW'S REPORT
中山剛志

群馬県立前橋西高校教諭
中山剛志

Nakayama Takeshi
教職歴10年(非常勤含む)。5校目となる同校に赴任して4年目。日本史・世界史担当。国際科の3学年担任。校務分掌は教務部、国際部。部活動では野球部監督。
【学校概要】1学年生徒数…普通科約160名、国際科約40名/08年度進路実績…国公立大9名、私立大延べ186名、短大・専門学校75名、就職21名

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒の進路が多様だから具体的な目標を定め
ぶれない指導を行いたい

日々の会話の積み重ねで先輩・同僚と相談できる関係に

 本校赴任2年目に、1学年担任となりました。学年に1学級ある国際科で、クラス替えはなく、担任も3年間替わらないことが多いです。初担任でしたが、生徒が「学校が楽しい」と思える学級づくりを目指しました。3年かけて自分が思い描いていた「何事にも目標を持って努力し、団結する学級」に近付けたと思います。
 指導に迷ったときによく相談したのは、学年主任、上の学年の国際科の担任の先生、当時野球部の監督だった先生です。よく言われたのは「先を見越してとにかく先手を打つ」。例えば、1年生の夏休み後は生活態度が乱れる生徒が出てくるので、1学期中に牽制しておく。進路を早く決めたくて安易な選択をする生徒が出てくるので、1年生から自分の興味・関心のある分野は何なのかを考えさせておく。一歩先の指導を生徒個々に働きかけ、学級をまとめている先生方の姿は、私の目標でした
 私が恵まれていたのは、共通の知り合いや部活動を通して話すようになった先生が多くいたことです。その先生方が相談しやすい雰囲気をつくってくださったことも幸いでした。短くても会話を積み重ねていくうちにつながりができ、次第に指導の相談もできるようになりました。本校の先生方はもちろんですが、他校へ異動された先生にも、今もメールや電話で相談に乗ってもらっています。

出願動向や伸びしろも予測した組織立った指導力が課題

 担任をする中で最も課題に感じたのは、進路指導の知識不足です。41人の生徒の進路は4年制大、短大、専門学校、就職と多様で、自分の今の知識だけでは対応できません。わからないことはわからないと生徒に正直に言い、一緒に調べたり、進路指導部の先生に相談させたりしました。
 最も悩んだのは出願校の決定です。経済的な理由から国公立大しか行けない、地元大学のみ、特待生入試を受けたい…といった生徒個々の条件に合わせながら、生徒が学びたいと思う学部・学科を共に考え、合格の可能性を探る。入試方式も多様で判断が難しく、手探りの状態で進めました。先輩の先生方を見ていると、生徒一人ひとりの希望・学力はもちろん、伸びしろや出願動向も予測して出願校を提示し、生徒は実際に合格しています。それは経験がなせる技なのか、データ分析の積み重ねなのか…とにかく驚くばかりです。私もそのように生徒を導ける知識と判断力を身に付けたいですし、是非教えていただきたいと思っています
 受験に向けた雰囲気づくりは、学級だけの取り組みでは難しいと感じました。生徒と最も向き合うのは学級担任ですが、普段の授業の働きかけも重要で、教科担任との連携が大切です。生徒の進路が多様であるが故に学年共通、学校共通で具体的な目標を立てるのは難しく、教科間においても足並みをそろえた指導は簡単ではありません。ただ、学級担任として生徒と日々向き合う中で感じるのは、たとえ達成が難しくても、組織として高い目標があれば、生徒の今以上の成長に結びつく指導ができるのではないか、ということです。具体的な目標があれば、教師は目標を意識して生徒に働きかけ、指導を工夫できます。3年間の学級担任の経験を踏まえ、目標の下に教師が一致団結し、生徒の本気を引き出す指導に必要なこととは何か、ということに私の関心は向かっています。

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