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大学入試環境の変化は、大学生と大学とのマッチングにも影響を与えている。
図3
を見ると、3割を超える学生が、自分の所属する大学の中で学部・学科・コースを変更したいと感じていることがわかる。「他の大学に入り直したい」と感じたことがある学生は約半数に及ぶ。特に、入試難易度が「45以上50未満」「45未満」の大学でその割合が高い。
大学での学びも、その成立が次第に困難になっているようだ。大学教員の約6割が、新入生の学力が低下していると回答。中でも、「基礎的能力」の低下に関しては、7割近くの教員が指摘した(
図4
)。学力低下の具体的な原因には、「主体性の欠如」が1位に挙げられ、学生の学習実態の変化が大学教育にも影響を与えていることがわかる。
高校→大学・社会 接続の課題
*入試難易度は、進研模試の入試難易度ランキング(08年度作成)による
出典/ベネッセ教育研究開発センター「
大学生の学習・生活実態調査報告書
」(2009年)
出典/日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究B
「大学生の学習意欲と学力低下に関する実証的研究」(2006年)
中学・高校・大学と学んだ彼らを、社会はどのように評価しているのか。
図5
は、企業が新規大卒採用の要件として重視するスキルを尋ねた結果だ。最も数値が高かったのは、「社会人としての常識・マナー」で、次いで「チームワーク力」「自己管理力」「問題解決力」「リーダーシップ力」などが続いた。英語力やICTスキルといったものよりも、「自分」や「社会」をそれぞれに定義する「観」の確立を社会も求めているといえるのではないか。
出典/ベネッセ教育研究開発センター「社員採用時の学力評価に関する調査(企業対象)」(2008年9月)
※文部科学省委託『大学卒業程度の学力を認定する仕組みに対する調査研究』(2008年12月)所収
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