特集 中・高・大とつなげる「学び」と「指導」
山尾孝司

▲兵庫県立姫路西高校

山尾孝司

やまお・こうじ

進路指導部長

北澤正志

▲岡山県立岡山朝日高校

北澤正志

きたざわ・まさし
進路指導課長

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【対談】

高校3年間で、
いかに質の高い学びの場と指導を提供するか

受け身の生徒が増える一方で、大学や社会からは、
主体的に行動できる人材の養成が高校現場に求められている。
高校は3年間という限られた時間の中で、何に力を注ぎ、どのように生徒を育て、
大学・社会に送り出していけば良いのだろうか。
進路指導を担当する2人の先生に語り合っていただいた。

受け身で失敗を恐れる現代の高校生

北澤  ここ数年の高校生の様子を見て私が感じているのは、失敗を恐れる生徒が増えてきたということです。
 端的に言えば受験がそうです。かつては、難関大に果敢に挑戦し、自分の力を信じて最後まで頑張り通せる生徒がたくさんいました。ところが今は、センター試験の成績がちょっとでも思わしくないと、すぐに気持ちがぐらつく。教師がぎりぎりまで生徒に対して精神的なサポートをすることで、ようやくゴールにたどり着くケースが増えてきています。
山尾  受け身の生徒も目立つようになりましたね。
 本校では昨年末に1、2年生から希望者を募って、ある地元の研究開発系の企業に職場訪問をしました。地域の伝統校の生徒ということで、特別に最先端の研究施設を見学させてもらったり、研究者としての気概や苦労といったお話をうかがったりと、その企業には貴重な機会をいただきました。
 ところが、見学が済んでいざ研究者の方への質問という段になったときに、生徒の側から全く質問が出てこなかったんです。先方の管理職の方が、その様子に業を煮やして「あなたたちは学校の先生が与えてくれた枠組みの中で、受け身的に行動しているだけじゃないか。なぜ興味を持ったこと、疑問に思ったことを、自分たちから積極的に表現できないのか」と生徒たちに訴えかけられたほどでした。
 このように受け身の生徒や、失敗を恐れる生徒が、かなりの割合で本校にも入学してくる状況になってきました。そして我々も、生徒の主体性を養うことに非常に苦労しているわけです。

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