指導変革の軌跡 栃木県立栃木高校「進路検討会」
栃木県立栃木高校

栃木県立栃木高校

◎2009年に創立113年目を迎えた伝統校。「独立自尊 和親敬愛 進取創造 質実剛健」を校訓として、社会の動向に正しく対処でき、将来有為な人材の育成を目指す。授業中心の教育の徹底、個人面談・保護者面談の重視を目標として掲げる。部活動も奨励し、水泳部、陸上部、弓道部などが関東大会に出場。

設立●1896(明治29)

形態●全日制/普通科/男子校

生徒数●1学年約240名

08年度進路実績●国公立大には北海道大、東北大、筑波大、群馬大、千葉大、東京大、東京工業大、一橋大、横浜国立大、新潟大、名古屋大、京都大、首都大学東京など159名が合格。私立大には、青山学院大、慶應義塾大、上智大、中央大、東京理科大、明治大、立教大、早稲田大など延べ484名が合格。

住所●〒328-0016 栃木県栃木市入舟町12-4

TEL●0282-22-2595

WEB PAGE●http://www.
tochigi-edu.ed.jp/tochigi/


稲葉実

▲栃木県立栃木高校校長

稲葉実

Inaba Minoru
教職歴31年。同校に赴任して1年目。「進学指導を支えるのは授業。そこにすべてが詰まっている」


VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 1/15 次ページ

指導変革の軌跡118


栃木県立栃木高校「進路検討会」

会議の実質化で
担任支援と指導力向上を両立

変革のステップ
背景(STEP1)
実践(STEP2)
成果(STEP3)
◎教師の多忙感を払拭し、生徒一人ひとりと向き合う時間を確保したい
◎学校独自の大学・学部難易度表の作成方法をスリム化し、事前会議を撤廃する
◎時間確保だけでなく、教師間の連携が密になり、ノウハウが伝承しやすくなる

担任支援を目的として 伝統の取り組みにメス

 栃木県を代表する進学校として、100年以上の歴史を有する栃木高校。徹底した授業中心主義、手厚い進学指導で高い進学実績を上げてきた。実績を支える原動力の一つは、3年生の7月と12月に実施される進路指導委員会だ。3学年団と進路指導部が、生徒一人ひとりの進路志望について話し合う戦略会議である。「いつから始めたかわからない」と、進路指導部長の若杉俊明先生が語るほど伝統ある取り組みだ。
 この「伝統」に改革のメスを入れたのは5年前。パソコンによる新たな合格可能性判定・検索システムを開発し、会議で進学先の検討にかけていた時間を簡略化。また、議論を実りあるものにするため、会議前に進路指導部と担任が事前に情報共有と意見の「すり合わせ」を導入するなどの改革を進めた。前進路指導部副部長(現1学年主任)の渡辺佐知夫先生は、当時を振り返り、改革のねらいを次のように述べる。
「本校の進路指導部は担任団をリードする性格が強く、それが力強い進路指導を実現する原動力となってきました。一連の改革のねらいは、そうした進路指導部の活力を生かしつつ、システム化し、情報提供を充実させること。それにより、担任支援の側面を強く打ち出していくことにありました」
 その結果、教師の生徒理解の深化と進路指導ノウハウの充実、生徒の学習意欲の向上などの成果をもたらしたことは、本誌2005年2月号で取り上げた。
  しかし、この改革の過程でそれまで見過ごされてきた課題が新たに浮かび上がった。3学年担任と進路指導部員の多忙感の問題だ。年2回の進路指導委員会は、1、2学期の期末考査の時期に開く。生徒の質問が集中する時期だけに、「生徒と向き合う時間を少しでも多く確保したい」と多くの教師が感じるようになっていた。

  PAGE 1/15   次ページ