指導変革の軌跡 東京都・私立実践女子学園中学校高校
東京都・私立実践女子学園中学校高校

東京都・私立実践女子学園中学校高校

◎2009年に創立110年を迎えた伝統校。「品格 高雅 自立 自営」を建学の精神として、堅実にして質素、品格ある女性の育成を目指す。04年度から「学力改革」「キャリア教育」「国際交流教育」を3本柱とする学校改革を推進。08年度から「感性・表現教育」を加え、生徒の25年後を見据えた教育を展開する。

設立●1899(明治32)年

形態●全日制/普通科/女子高

生徒数(1学年)●約300名

08年度進路実績●国公立大には埼玉大、東京外国語大、横浜国立大、山口大、首都大東京など8名が合格。私立大には、青山学院大、学習院大、北里大、慶應義塾大、上智大、国際基督教大、東京理科大、早稲田大、立教大、同志社女子大、立命館大など延べ612名が合格。

住所●〒150-0011 東京都渋谷区東1-1-11

TEL●03-3409-1771

WEB PAGE●http://www.
jissen.ac.jp/chuko/index.html


松田由紀子

▲実践女子学園中学校高校校長

松田由紀子

Matsuda Yukiko
教職歴35年。同校に赴任して6年目。「行くに径(こみち)に由らず」


VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡119


東京都・私立実践女子学園中学校高校「キャリア教育・感性表現教育」

25年後のビジョンを進路決定の柱とし、
生徒の意欲を高める

変革のステップ
背景(STEP1)
実践(STEP2)
成果(STEP3)
◎110年の伝統ある教育スタイルを継承しつつ、時代に合ったキャリア教育を行い、志願者層の低下を食い止めたい
◎25年後の自分をイメージさせ、結婚・出産も含めたライフスタイルを考えさせる
◎自分のライフデザインに沿った進路選択に変化し、理系志望者が倍増。また、校外活動に参加する生徒も急増

志願者数の減少を前に新たな特色づくりを模索

 松田由紀子校長が20年以上に及ぶ公立校での教職経験を経て、母校の実践女子学園に迎えられたのは2004年4月のこと。同校では、99年度ごろから併設の実践女子大・短大以外の大学への進学にも力を入れ始め、国公立大や難関私立大に200人以上が進学していた。しかし、中学受験生の心をつかむまでには至らず、01年度ごろから中学入学希望者が減少し、比例して他大学への合格者数も落ち込み始めた。中学入学志願者の確保と高校生への進路指導の見直しが急務となっていた。松田校長は赴任当時を次のように振り返る。

 「最も驚いたのは、私自身が在学中に行われていた女子教育の伝統を今日に至るまで継承していたことです。留学した生徒が、ホームステイ先から『このような機会を与えてくれた校長先生に感謝します』と手紙を送ってくるなど、感謝の気持ちをきちんと相手に伝えられる。公教育に長年携わる中で、学校や保護者、地域の教育力の低下に危機感を抱き続けてきただけに、とても嬉しく感じました。しかし、そうした魅力が、受験生に対してのアピール材料となっていなかったことも事実です。何よりも本校ならではの独自色を持って他校との違いを打ち出せていなかったことが問題でした。多くの私立校は、少子化を見越して90年代の初めから特色づくりに力を入れてきました。他校の改革が進むにつれて、相対的に本校の評価は落ち込んでいったのです。創立以来の伝統を継承しつつ、時代の要請に応じた教育体制をいかに再構築するか。それが、私たちに課せられた課題でした」

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