指導変革の軌跡 福岡県公立古賀竟成館高校
小倉浩義

▲福岡県公立古賀竟成館高校

小倉浩義

Kokura Hiroyoshi
教職歴・赴任歴共に24年目。教務主任。「地道な努力が大きな結果につながるということを生徒に感じてもらいたい」

米原光章

▲福岡県公立古賀竟成館高校

米原光章

Yonehara Mitsuaki
教職歴22年。同校に赴任して14年目。進路指導主事。「創造的な進路指導を展開し、生徒の志望を実現していきたい」

丸山貴与仁

▲福岡県公立古賀竟成館高校

丸山貴与仁

Maruyama Kiyohito
教職歴・赴任歴共に7年目。生徒指導主事。「若さと情熱を忘れず、等身大で生徒たちにぶつかり、物事の是非を教えたい」

VIEW21[高校版] 新しい組織的な生徒指導による学校改革のパートナー
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厳格な生徒指導で学校の規律を回復

 学校存続をかけた改革は、生徒指導の厳格化から始まった。01年度に福岡県教育委員会から、教頭(当時)として赴任した大枝均校長のリーダーシップの下、徹底的な生徒指導に着手したのだ。服装、カバン、頭髪、まゆ毛にそれぞれ基準を設け、違反1回ごとに、担任、学年主任、生徒指導主事、教頭、校長と順次、指導を受ける。累積10回で停学。停学といっても、生徒に学校で1~6時限の間、教師が1対1のつきっきりで学習課題を受けさせるというものだった。
 生徒の反発は大きかった。基準と罰則は告知したが、生徒にしてみれば、シャツを出していただけ、眉を剃っただけでなぜ停学になるのかという思いがある。しかし、生徒のためにも厳しくしたと、教務主任の小倉浩義先生は話す。
 「私自身、改革が始まった当初は、本当にこんなに厳しくする必要はあるのか、これが正しい教育なのか、と疑問に感じました。しかし、規則を厳しくしてから日を追うごとに生徒の生活態度が良くなっていくのを目の当たりにし、『生徒のためなら』と前向きに考えられるようになりました。それが確信に変わったのは、ある卒業生が学校を訪ねてきたときです。その生徒はこう言いました。『在学中は不満でしたが、就職して服装や挨拶、時間厳守の大切さを実感しました。ルーズなまま社会に出ていたら、きっと適応できなかったと思います』と。厳格な生徒指導が、当時の本校には必要だったのです」
 更に困難だったのは、保護者への対応だ。大枝校長が教頭として赴任した年のこと。生徒を厳しく指導したところ、保護者から「子どもが学校に行きたくないと言っている。どう責任を取るんだ」と問責された。保護者との関係づくりは生徒指導の成否にかかわる課題だった。
 「担任のクラスや顧問を務める部に所属する生徒の家庭を訪問するなどして、地道に保護者との関係づくりに努めました。問題が起きてから家庭訪問をしても、課題解決の話で手一杯で、それ以外の話ができません。普段からよい関係を築いておけば、問題が起きても、学校側の意見に耳を傾けてもらえると考えました」(丸山先生)
 こうした教師の地道な努力の積み重ねによって、厳しい罰則を課さなくても、教師の指導に従う生徒が多くなった。02年度に100件ほどあった特別指導は、08年度には13件と激減した。

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