VIEW'S REPORT
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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周到な準備によって徐々に取り組みの意義を浸透

 「学びの共同体」は、従来の授業スタイルとは大きく異なるため、その効果を認めつつも、導入に二の足を踏む学校は少なくない。
 一見して異なるのは机の配置だ。原則として、すべての生徒が壁に背を向けて「コの字型」に座り、必要に応じて4人1組のグループをつくって課題や討議に取り組む。コの字とグループとを切り替えるタイミング、生徒の主体的な参加を促す声かけや課題など、生徒が学び合える雰囲気をつくれるかどうかが、教師の腕の見せどころとなる。
 沼津城北高校では、教師が取り組みやすいよう、導入の公表までに綿密な計画を立てた()。

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 08年6月、「学びの共同体」で成果を挙げている広島県立安西(やすにし)高校(本誌08年9月号参照)の公開授業に、英語と数学の教師を派遣。その様子を7月末の職員会議で報告し、授業研究に取り組む旨を伝えた。「刺激を軽く与えた」という鈴木校長の表現通り、この時点では新しい取り組みが動き始めていることを示唆するにとどめている。
 もっともこの時点で、鈴木校長の胸中には迷いがあった。本当に、「学びの共同体」を実現できるのか、大学入試に対応できる学力は身に付くのか―。鈴木校長を決意させたのは、9月に県下一斉に実施する中学生進路希望調査で、前年度と同じような志望動向になっていると判明したことだった。
 鈴木校長は、「学びの共同体」の提唱者である東京大大学院の佐藤学教授に協力を依頼し、10月半ばの職員会議で次年度からの導入を表明した。
 当初は1年生のみで実施する予定だった。2、3年生は従来の授業スタイルになじんでおり、コの字型の授業は受け入れにくいだろうと考えたからだ。
 しかし、12月に佐藤教授を招いたときに、「高校生は協同学習にすぐ慣れますし、『学びの共同体』は先生方も幸せにしたいという趣旨があります。授業のプロとして、自分のスタイルをつくることです。始めるなら一斉に取り入れる方が効果があります」との助言を受け、全学年での実施を決めた。


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