VIEW'S REPORT
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「学びの共同体」への可能性が 教師たちの参画を促す

 導入決定を受けて、教師はどのように感じたのだろうか。前年6月、安西高校への視察に参加し、12月の校内の研修会において「学びの共同体」の提案授業を行った英語科の岩田香緒里先生は次のように話す。
 「私は教師になったころから、和訳・座学中心の授業に疑問を抱き、授業では対話や活動を重視してきました。ですから、『学びの共同体』の授業スタイルにはすぐになじめました。課題はコの字型の机の並びでどのように指導していくかです。生徒同士の顔が見えるので一体感が生まれやすいというメリットがありますが、もっと生かせるように、発言のさせ方などを工夫していきたいと思います。また、中学校の授業見学などを含めて、ほかの先生方の授業を見る機会がかなり増えました。特に他教科の授業を見ると、学び合わせるタイミングや与える課題など参考になることが多くあり、勉強になりました」
 佐藤教授の指導を受けた08年12月以降、岩田先生ばかりではなく、ほかの教師も積極的に協同学習の授業を試行し始めた。
 「ほとんどの生徒は、授業中黙って教師の説明を聞き、まじめにノートを取っています。しかし、定期考査や模試では点数が取れない。どの学校も同じですが、先生方の意識には、自分たちが努力するほどには、生徒の実力が伸びないことへの疑問や不満があるのではないでしょうか。また、12月の岩田先生の提案授業で学び合う生徒の表情を見て、『学びの共同体』の可能性を感じたことも大きかったのではないかと思います」と、乗松教頭は指摘する。
 「大学入試環境が激変し、従来とは違う学力対策や受験へのアプローチもあるはず。登山にもいくつかのルートがあるように山頂への道を変えた。先生方もそう感じているのではないでしょうか」と浅川教頭は話す。
 09年度は、学年ごとの授業研修会を3回、全体の公開校内研修会を2回実施する。また、個々の教師が、他の導入校の同じ担当教科の教師と交流を深めていく。同校の改革はこれからが本番だ。課題解決につながるのか、その行方を注視したい。


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