指導変革の軌跡 東京都・私立淑徳巣鴨中学高校
東京都・私立淑徳巣鴨中学高校

東京都・私立淑徳巣鴨中学高校

◎日々の学習、課外活動等を通して「感恩奉仕」の心を育むことを目指す。1学期を2~3か月とする「5学期制」を採用。希望進路に対応して「スーパー特選」「特選」などの5コースに分かれて指導する。部活動も盛んで、水泳部は全国大会の常連。バドミントン部は関東大会に高校女子が38年連続、男子は16年連続出場している。

設立●1919(大正8)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約420名

09年度入試合格実績(現浪計)●国公立大は埼玉大、電気通信大、東京芸術大、横浜市立大などに7人が合格。私立大は、青山学院大、慶應義塾大、上智大、法政大、明治大、立教大、早稲田大などに延べ623人が合格。

住所●170-0001 東京都豊島区西巣鴨2-22-16

TEL●03-3918-6451

WEB PAGE●http://www.
shukusu.ed.jp/index.html


大森光芳

▲淑徳巣鴨中学高校教頭

大森光芳

Omori Mitsuyoshi
教職歴・赴任歴共に35年。「何よりも授業を大切にしたい」


VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡122


東京都・私立淑徳巣鴨中学高校「大学入試問題研究」

入試問題研究を通して授業力、
受験指導に対する意識を高める

変革のステップ
背景(STEP1)
実践(STEP2)
成果(STEP3)
◎教師個人の力量や経験に頼らず、組織的に指導力を上げ、指導のばらつきを抑えたい
◎教師一人ひとりに大学・学部を割り振り、夏休み中に入試問題を分析。解答・解説を冊子にし、全生徒に配布
◎入試問題研究を踏まえた授業・面談により、生徒からの信頼感も高まる

古い指導観からの脱却を図ろうと最新の入試問題を研究

 淑徳巣鴨中学高校は、2005年度に組織的な大学入試問題研究を導入した。狙いの一つは、教科指導力の向上だ。過去問を研究し、最新の入試動向を把握した上で授業に臨む教師がいる一方、自身の経験だけを頼りに指導する教師もいた。全校的に入試問題を分析する機会を設けることによって、教師の指導力向上、ひいては授業改善につながると考えたのだ。
 教師の意識面の問題もあった。大森光芳教頭は次のように話す。

 「かつて本校には、受験指導といえば推薦入試一辺倒だった時代がありました。ここ十数年で、一般入試に合格できる学力を身に付けさせる学習指導に転換してきましたが、05年度以前には、推薦入試中心だった時代の指導観を持つ教師がまだ多くいました。自分で入試問題を解いてみれば、かつての大学入試とは大きく変わっている、大学ごとに特色がある、ということが見えてくるはず。入試問題に触れ、客観的な情報やデータに基づいて指導することの大切さを感じてほしいと考えました」
 意識の問題は、教師だけの課題ではなかった。入試問題研究の導入を主導した進路情報主任の橋本恭先生は、生徒の大学入試に対する意識も変えたかったと話す。
 「生徒が志望校を選ぶ時に、最もよりどころにするのは偏差値です。大学の難易度表を見ただけで『ここは難しい』『自分には無理』と結論を出してしまう傾向が多く見られました。生徒の偏差値がそれほど高くなくても、問題によっては合格できるケースもあるはず。実際の入試問題に触れることによって、生徒に自信を付けさせ、挑戦する意欲を高めさせたかったのです」

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