徹底した生徒指導で生徒の規範意識を育むと同時に、生徒の自己効力感を高めることも意識した。3学年主任の若松修先生は、褒めることによって生徒の意識を変えたかったと話す。
「本校の生徒は、学習でも部活動でも、機会を与えられなかったり、生活に余裕がなかったりしたために力を発揮できずにいた者がほとんどです。しかし、どんなに力のある生徒でも、教師が『お前は駄目だ』という態度で接していたら、頑張ろうという気は起きません。元気や自信を与えることが、生徒の可能性を引き出すために何よりも重要でした」
「月間MVP」も、生徒の自信を高めるために創設した。「あいさつがきちんとできている」「寒い中、頑張った」など、少しでも生徒が良いことをすれば表彰の対象となる。
教師が日常的に生徒を褒めるために、話題があればすぐに校長に伝える。例えば「試合でホームランを打った」と、部顧問から校長へ、また職員朝礼で全教師に伝えられる。授業中や廊下での通りすがりなどに、教師はその生徒に声を掛け健闘をたたえる。「先生はいつでも見てくれている――」。そうした充足感が、生徒の自己効力感、学校への帰属意識を高めるのだ。
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