「進路情報交換会」は、教師間の目線合わせの場にもなっている。
同校は、07年度入試で苦戦を強いられた。国公立大合格者は前年の56人から38人に、早慶上智は75人から61人に落ち込み、MARCH(*)の合格者数も減った。この学年も例年通り、部活動の影響で本格的な受験勉強への取りかかりは早くなかったが、受験期が近づくと、生徒は本気で勉強に臨んだ。ところが、いつもの3年生のようには成績が伸びず、前述の結果となった。なぜ追い上げが利かなかったのか。
2年生からこの学年の担任をした福石さくら先生は、模試の結果や面談で得た情報などを基に原因を追究した。すると、2年生での過ごし方に問題があったのではないかと考えられた。
「2年生の担任になってしばらくして感じたのは、これまでの生徒に比べて学習習慣が定着していないということでした。それは、模試の成績にも如実に表れていました。2年時の成績で、受験期の伸びはある程度予想できるものです。つまり、2年生で怠けてしまうと、3年生での追い込みが利かない。その法則を、06年度卒業生が見事に体現していたのです」(福石先生)
2年生の過ごし方が大切――。この考え方を周知徹底する上でも、「進路情報交換会」は大いに活用された。08年度に3学年主任を務めていた佐藤典生先生は、次のように指摘する。
「合格実績の落ち込みを経験した福石先生が『2年生が大切』と繰り返し強調したことで、多くの先生が気を引き締めました。2年生といえば『中だるみ』が問題になりますが、こうした構造的な問題としたとらえ方では、どの学校でも避けられないと思いがちです。しかし、『2年生が大切』という前向きな言い方により、多くの教師が解決可能な課題として受け止められたのではないでしょうか」
08年度卒業生が早慶上智合計の合格者数で過去最高の実績を挙げられたのは、早い段階で教師の意識統一を図っていったからだろう。
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