指導変革の軌跡 東京都・私立錦城高校
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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模試の有効活用とデータに基づく指導

 ここ十数年で、模試の活用に対する教師の認識も大きく変わった。かつては、模試に対する意識が低く、「実力テストなのだから、実力でやらせればよい」という教師もいた。模試の準備、振り返りなどは一切していなかったという。
 今はすべての模試(1・2年生各4回、3年生6回)で、生徒に「目標・自己採点シート」を記入させている(図2)。2年生1月の進研記述模試の場合、「進研記述模試の目標」に、志望校や前回模試を基にした目標点、弱点克服のための対策などを記入。それを実現させるためのスケジュールを1日単位で作成する。結果が返ってきたら、「模試自己採点シート」に今後力を入れる教科、目標点、達成するための方策などを書かせる。教科担任は、学年全体の結果に基づく分析を公表し、「うまく解答できない生徒は、自分の語彙力を振り返ろう」(英語)、「漢文は漢字の読み、現代語訳などすべてで全国平均を下回る。1年次の学習の総復習が急務」(国語)など、学習の指針を与える。
 模試活用が活発になるにつれ、模試結果を中心としたデータに基づく指導が根付いた。進路指導部長の大音雅克先生は、次のように話す。

 「職員会議も『進路情報交換会』も、あくまでデータを基に、良いところは評価し、課題に対する対策をしっかり立てさせるように心掛けています。会議や模試分析などを通して、教師間にデータ重視の姿勢が浸透していると感じます。特に3年生担任はパソコンを持って面談に臨み、蓄積したデータを見ながら生徒個々に指導しています。客観的なデータに基づくアドバイスは、生徒に対して説得力があることを肌で感じているのでしょう」
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図2 模試の「目標・自己採点シート」

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