指導変革の軌跡 大阪府・私立追手門学院中学校・高校
大阪府・私立追手門学院中学校・高校

大阪府・私立追手門学院中学校・高校

◎「独立自彊(じきょう)・社会有為」を学院理念として、「自律・協同・創造」の精神を有し、社会に貢献する人材の育成を目指す。2000年に学校改革に着手。難関国公立大文系・難関私立大文系を目指す英数コース、国公立大理系・難関私立大理系を目指す理数コース、関関同立はじめ私立大を目指す総合文理コースの3コースがある。

設立●1888(明治21)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約340名

09年度入試合格実績(現浪計)●国公立大は、大阪大、和歌山大、神戸大、山口大、香川大、九州大、大阪教育大、大阪市立大などに計34人が合格。私立大は、明治大、法政大、同志社大、立命館大、追手門学院大、関西大、甲南大、関西学院大などに延べ610人が合格。

住所●〒567-0008 大阪府茨木市西安威2-1-15

TEL●072-643-1333

WEB PAGE●http://www.
otemon-jh.ed.jp/


佐々木実

▲追手門学院中学校・高校校長

佐々木実

Sasaki Minoru
教職歴25年。同校に赴任して23年目。「つまずくことが多いのが人生。『七転び八起き』の精神で、何度も立ち上がれる生徒を育てたい」


VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 6/15 前ページ  次ページ

指導変革の軌跡128


大阪府・私立追手門学院中学校・高校「教師の意識改革」

若手も参加の「学習会」で
教師一人ひとりが学校の未来を考える

変革のステップ
背景(STEP1)
実践(STEP2)
成果(STEP3)
◎大学進学実績が伸び悩み、その影響で志願者数が減少。学校の在り方を抜本的に改める必要性を痛感
◎6年間一貫教育を考える組織が、教師の「学習会」に発展。若手も含め、学校の将来像を話し合う組織として改革を牽引
◎教師一人ひとりに学校改革への意識が醸成され、改革は順調に進む。大学進学実績が向上し、志願者数も回復

志願者数減少の危機に直面し教師が自信を喪失

 教師の意識啓発や一体感の醸成の必要性を感じながら、うまくいかずに悩んでいる学校は多くあるだろう。追手門学院中学校・高校は、そうした課題の解決に教師のボトムアップの「学習会」を軸に据えて取り組み、学校改革の原動力にしてきた。
 発端は9年前にさかのぼる。2000年度、5年ぶりに追手門学院中学校・高校に戻ってきた佐々木実校長(当時は教諭)は、学校のあまりの変わり様に驚いた。
 「1995年から5年間、学校を離れていたのですが、本校に再着任して驚きました。中学校、高校共に定員割れ。中学校に至っては、募集人員の半分程度しか生徒が入学していなかったのです。5年前まではそのような兆候は見られなかっただけに、半ば茫(ぼう)然とさせられました」
 志願者数が低迷した原因は、大学進学実績にあった。進学者数が特別に減っていたわけではない。他の私立校が実績を伸ばす中で、相対的に同校の実績が下がっていたのだ。99年度高校入試では専願志願者100人のうち99人を合格させる事態に至った。入試委員長を務める木内淳詞教頭は、当時を次のように振り返る。
 「生徒募集に悩んでいた時に思ったのは、生徒募集がうまくいかないと、どれほど良い教育をしていても、教師として自信を持つことはできないということです。目の前の学校の状況に、教師は打ちひしがれ、自信を失っていました」

  PAGE 6/15 前ページ  次ページ