指導変革の軌跡 福岡県立八幡高校「進学実績向上」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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取り組み同士のつながりが相乗効果を上げる

 現在、「探究の時間」は、普通科3年次の「総合的な学習の時間」(以下、総合学習)で行う。理系クラスでは「環境」「遺伝子技術」「医療」など、文系クラスでは「国際化」「福祉」「教育」など、教師1人につき1テーマを担当し、6クラスで各2時間の講座を実施。1時間目は概要を説明、2時間目はより内容を深めた上で、小論文(大学入試の過去問など)に取り組ませる。
 小論文の書き方など基礎的な技法は、1、2年次に総合学習の一部として実施する。1年次は小論文の形式や表現方法など、小論文の基礎的な書き方、2年次は書籍や新聞、インターネットなどを利用して知識を深め実践力を養う。教師全員が何らかの形で小論文指導に加わる体制となっている。
 「本校では、以前から取り組む小論文指導や日々課題、口頭試問、数年前からの進路検討会、また理数科の取り組み(本誌02年6月号参照)などが、形骸化せずに進んでいます。生徒の現状を踏まえながら、教師が工夫や改善を加えているからでしょう。それぞれの取り組みが有機的につながり、最終的には生徒の進路選択や成長に結び付くと、教師一人ひとりが実感しています。小論文、日々課題、口頭試問の指導にしっかり取り組むことで、学力だけではなく、生徒の特徴や性質なども把握でき、それが進路検討会で生きてくる。それぞれの取り組みがどのようにつながっているかを意識することは大切だと思います」(中島教頭)
 現役国公立大合格者が増えた今、次の課題として掲げているのは「現役難関大合格者」を増やすことだ。06年度の3年生から、放課後課外終了後に成績上位層を対象とした課外学習「難関大学ターゲット」を始め、翌年には同講座を1年次からに拡大した。従来、3年次に行っていた「難関大学志望者集会」は、08年からは2年次4月に実施するなど、早期の意識付けにも力を入れる。
 また、教師の指導力向上のため、九州大の入試問題分析も始めた。各教科の分析をまとめた「分析集」には1、2年生向けのアドバイスも加え、全学年で配布している。学習の指針を与えると共に、早期の意識付けを促すのが狙いだ。
 「本校の生徒は、素直に教師のアドバイスを受け入れる半面、あきらめずに最後まで自分の意志を貫き通す気迫に欠ける傾向があります。教師がこれまで以上に情報を共有し、多方面から生徒を励ますと共に、私たち自身が生徒の可能性を信じ、最後まであきらめない粘り強い指導をしていかなければなりません。それができた時、本校は今以上の躍進を遂げられると考えています」(浦野先生)

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