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高校生に伝えたいこと
論理的思考力と人間への関心が経済学を見る土台に |
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実家は商店を営んでおり、私は商品に価格シールを張る仕事を手伝っていました。中学時代には、オイルショックが起きました。インフレが進む度に商品の値段が上がっていくので、私は何度もシールを張り替えました。その時に、ふと「あらかじめ価格の変動が予測できれば、もうかるのではないか」と思ったのです。これが、経済とのかかわりの始まりでした。
大学で勉強してみると、経済学にはもっと面白い面がありました。経済予測も大切な仕事ではあるけれど、それはほんの一部。どうしたら、世の中が豊かになるのか、そのための仕組みをどのように設計すればよいのかということを追究するのが、経済学の重要な役割であると分かったのです。
私は、家業の手伝いを通して、生の経済に触れることができましたが、学校で公民や政治・経済の理論を学んでいるだけでは、経済学の本当の魅力は感じられないかもしれません。実際の経済学は、もっとダイナミックで、人間的な魅力にあふれた学問です。その中でも、とりわけ人間らしさを追求しながら、それを社会の仕組みの設計やチェックに生かすことのできる分野が、行動経済学なのです。
行動経済学の研究を志すならば、数学に代表される論理的な思考力を身に付けることは欠かせません。その一方で、観察や実験などの理科的な手法や、歴史や社会問題などの教養、人間そのものに対する興味も大切です。経済と人間の両方、あるいはどちらか一方にでも、興味のある人には、やりがいのある分野だと思います。そして何よりも、社会に対する目、自分自身に対する認識に、大きな変革をもたらしてくれる刺激的な学問ではないでしょうか。 |
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