指導変革の軌跡 大阪府・私立追手門学院中学校・高校「進学指導」
宮城県・私立古川学園中学校・高校

宮城県・私立古川学園中学校・高校

◎1990年に普通科を設置してから、大学進学実績を伸ばす。2003年、古川商業高校から現校名に改称。08年には、中学校を併設し中高一貫校となる。女子バレーボール部は、全国大会出場87回、うち優勝10回の実績を誇る。

設立●1954(昭和29)年

形態●全日制/普通科(進学コース、総合コース)・情報ビジネス科/共学

生徒数(1学年)●約400人

09年度入試合格実績(普通科進学コース・現役)●国公立大は、東北大15人、筑波大1人、東京大1人、一橋大1人、東京工業大2人など計62人が合格。私立大は、岩手医科大、東北学院大、青山学院大、北里大、慶應義塾大、東京理科大、法政大、明治大、早稲田大などに延べ276人が合格。

住所●〒989-6143 宮城県大崎市古川中里6-2-8

TEL●0229-22-2545

WEB PAGE●http://www.
furukawa-gakuen.ac.jp/


VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡131


宮城県・私立古川学園中学校・高校「進学指導」

「一流の高校生になれ」
徹底的にかかわる指導で生徒の意欲を引き出す

変革のステップ
背景(STEP1)
実践(STEP2)
成果(STEP3)
◎学習量を増やす指導で進学実績を伸ばしてきたが、生徒が受け身がちになり、進路実績が頭打ちとなる
◎課題の出し方や勉強合宿、補習、大学見学など、今までの取り組みを、「主体性を引き出す」という観点で改善
◎生徒が自ら弱点を見つけ、学習するようになる。東北大合格者数が2桁など、継続的に高い進学実績を上げる

一方的に与える指導が生徒の主体性を奪う

 宮城県大崎市に位置する古川学園中学校・高校は、1990年の普通科の設置以来、十数年で大学進学実績を大きく伸ばしてきた。躍進の原動力は、圧倒的な学習量にあった。土日は補習を行い、定期考査の追試に合格しなかった生徒には、夜11時頃まで補習を課した。学校行事は、2年生での修学旅行くらい。体育祭は商業科(現・情報ビジネス科)と合同で行うものの、進学コースの生徒は、後片付けもせずに、そのまま授業に突入するという徹底ぶりだった。
 しかし、普通科設置から10年余りがたった頃から、次第に同校を取り巻く環境に変化が生じた。以前は、頑張った分だけ生徒の学力は確実に伸び、進学実績に結び付いていた。ところが、進学実績向上の効果で入学生の学力が上がり、目標が高くなるのに伴い、量だけでは思うように学力が伸びなくなっていったのだ。
 教師が一方的に課題を与え続けることによる弊害も見られるようになった。2学年主任の阿曽等先生は、次のように話す。
 「課題を与えれば生徒は素直に取り組みますが、それ以上のことはしようとしなくなりました。教師の都合で課題の作成が滞ると、『なぜ課題をくれないのですか』と言ってくるのです。『成績が上がらないのは、先生が課題をくれないからだ』と言われたこともありました。そのような姿勢の生徒と接するうちに、過剰なまでに面倒を見てきたことは、生徒が自ら考え、行動する機会を奪っていたのではないかと考えるようになったのです
 圧倒的な量による指導について、生徒や保護者の受け止め方に変化も見られ始めた。それまでは、土日の補習に賛同する保護者は多かったが、ここ数年、「なぜ日曜日に親が学校に送り迎えをしなければならないのか」といった声が寄せられるようになった。素直に指導を受け入れていた生徒も、徐々に疑問を発するようになった。俣野聖一教頭は次のように指摘する。
 「数年前、3年生の担任をしていた時のことです。当時は毎日20時30分まで補習をしていましたが、『能率が上がらないので帰らせてください』と言い、最後まで補習に参加しなくなった生徒がいました。その生徒は最終的に東京大に合格しました。その時、冷静に学校の環境を見回し、圧倒的な量を一方的に教師が与えるだけでいいのか、生徒自身が意欲を持って自ら学習できる環境こそが必要なのではないか、と考えるようになったのです」
 量を与える指導から、生徒の主体性を大切にする指導へ_。学校が更に飛躍するためには、指導の転換が必要だと教師は感じていた。

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