指導変革の軌跡 宮城県・私立古川学園中学校・高校
成本豊

▲古川学園中学校・高校

成本豊

Narimoto Yutaka
教職歴14年。同校に赴任して7年目。1学年主任。「生徒と共に歩き、成長できる教師でありたい」

本田敦久

▲古川学園中学校・高校

本田敦久

Honda Atsuhisa
教職歴・赴任歴共に14年。3学年主任。「『誰かのために』頑張ることのできる人間を育てていきたい」

*鉢巻きは、団結を強める意味も込めて、3年生の生徒と学年団の教師が 身に付ける。同校の恒例となっている
VIEW21[高校版] 新しい学校再生のパートナー
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宣誓式・出陣式で学年を超えて「受験は団体戦」の意識を高める

 「受験は団体戦」といわれるが、生徒のやる気を高める上で、生徒同士、あるいは生徒と教師の団結は欠かせない要素だ。同校では、校内の結束を固めるための取り組みにも工夫を凝らしている。
 団結に向けて重要な位置付けとなっているのが、夏期勉強合宿の最終日に行う「宣誓式」と、センター試験前日の「出陣式」だ。宣誓式では、2年生が立ち会い、3年生が一人ひとり壇上に上がって「私は○○大を目指します!」と宣言する。出陣式では、3年生全員が受験校を発表し、それに対して1・2年生全員が「イケイケ○○(苗字)! ガンバレ○○(名前)!」と激励し、一人ひとりへの応援メッセージカードを送る。学年を超えた一体感が生徒を鼓舞し、受験に向かう勇気を与える。
 「生徒同士の結束の強さには、私たちもしばしば驚かされます。志望校に不合格だった時、仲間や後輩の期待に応えられなかったことに申し訳ないと感じる。同じ志望校だった友だちが不合格だったと知ると、自分のことのように悲しい顔をする。深い絆で結ばれた生徒たちの姿は、我々教師が見てもうらやましく感じるほどです。この団結力があるからこそ、気持ちが落ち込んでも立ち直ることができ、厳しい受験を乗り越えられるのです」(本田先生)
 宣誓式での3年生の姿は、2年生にも強烈な印象を与えるようだ。宣誓式の直後、2年生は勉強合宿での最後の自習を行うが、教師が指示をしなくても、生徒は黙々と自習に取り組む。また、勉強合宿後、2年生全員が書く決意文には、ほとんどの生徒が宣誓式に触れ、「自分にもあのように心のこもった宣誓ができるだろうか」「来年、堂々と宣誓できるよう自信を付けたい」などと心情を綴る。
 団結の強さは、教師も生徒と同じだ。3年生になると、教師と生徒がそろって「絶対合格」の鉢巻きを締める。以前は、生徒のほかは教頭と進学指導部長だけが締めていたが、今では担任も身に付けている。
 受験が佳境を迎える2月下旬には、直前合宿として、学校に泊まり込みで個人指導を行う。教師と生徒が一対一で向き合い、試験前日まで毎晩学習する。
 「この時期は、教師との密接な関係の中で、生徒は話し方も考え方も大きく成長していきます。何としても志望校に合格してほしいという教師の熱意を感じ、周りに支えられてここまできたことを実感するのでしょう。本気で大学受験に取り組むことが、生徒の人格形成や人間的成長を促す重要な機会になっていると感じます」(俣野教頭)

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