指導変革の軌跡 鳥取県立鳥取中央育英高校「小中高連携」
浪花良孝

▲鳥取県立鳥取中央育英高校校長

浪花良孝

Naniwa Yoshitaka
教職歴36年。同校に赴任して4年目。「モットーは『為せば成る』」

齋尾博幸

▲鳥取県立鳥取中央育英高校

齋尾博幸

Saio Hiroyuki
教職歴27年。同校に赴任して9年目。渉外担当。国語科主任。「『継続は力なり』ということを生徒に伝えていきたい」


VIEW21[高校版] 先生方とともに考える 新しい進路指導のパートナー
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小中高の共通テーマは「学習習慣の定着」

 07年度、小中高3校による連携事業「向ヶ丘レインボープラン」が動き出した。しかし、子どもの発達段階はもちろん、教科指導に対する考え方や学校文化も異なるため、すぐに踏み込んだ連携をするのは難しい。そこで、初年度は「出来ることから」という共通理解の下、3校の交流に重点を置いた。大栄中学校が主幹校となり、公開授業や研究授業など教師の交流、体験授業や部活動など生徒同士の交流を推進した。
 教師間の相互理解が進んだ08年度は、牧尚志教頭と横山尚登教頭が中心となり、連携を一歩進め、3校共通のテーマを設定し、小中高の連続性を意識した活動に取り組んだ。テーマ設定は、08年度の主幹校となった鳥取中央育英高校が積極的に進めた。校内での検討の結果、決定したテーマは「学習習慣の定着」だった。
 「学習習慣の定着は高校教師が苦慮していることですが、小中学校でも同様に感じているに違いないと考えました。当案を連絡協議会で提案したところ、予想通り、即座に小中の先生の賛同を得られました」(浪花校長)
 また、取り組みの前提となる「学力」を、次の三つに定義した。(1)学ぼうとする力(モチベーション)、(2)学ぶ力(学びの方法や姿勢、態度)、(3)学んだ力(結果として身に付く力、数値で測れる力)だ。連携事業では、(1)と(2)を重視し、学習規律と家庭学習習慣を確立させて、学ぶ意欲の向上を目指すこととなった。
 代表的な取り組みは、年1回の「上級学校授業体験」だ。従来行っていた夏休みの体験入学は希望者のみを対象としていたが、上級学校授業体験は、大栄中学校の当該年度の3年生全員を対象とした。授業は国数英理社および体育。教科の魅力を伝えると共に、高校と中学との違いを意識させ、中学校の学習がいかに大切かを伝えられるかが、教師の腕の見せ所である。教務主任の徳住彰啓(とくずみあきひろ)先生は次のように述べる。
 「数年前、大栄中学校からの入学者13人のうち一部の生徒が、1年生の早い段階で退学しました。生徒の成績は悪くありませんでしたが、中学校とのギャップに悩み、退学・転学という選択をしたのです。学校は何か出来たのではないかとずっと引っ掛かっていました。今は、高校入学後の姿を具体的に思い描かせることで、高校進学の心構えを身に付けてもらえるのではないかと期待しています」

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