南山晃生 みなみやま・てるお●教職歴21年。現在、6年生を担任。評価・指導案の研究に長く取り組み、確かな学力をつけるための新しい評価基準など、積極的な提言を行っている。教育評価全国調査会に所属。著書に『「新しい通知表」の工夫』(共著・小学館)などがある。 |
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私の目指す授業 |
中核目標を明確にした授業づくりから |
南山晃生 大阪府 箕面市立東小学校教諭 |
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──授業のなかで最も大切にしていることは?
子ども自身がどこでつまずいたのかが自覚でき、次へのステップを着実に踏ませること。つまり、子どもが自己評価をしながら進めていけることが大事です。
ただ、子どもにとって、自分がどこでつまずいたのかを自覚することは難しい。教師はそこを手助けしていく必要があります。
例えば、私は、一斉授業でも自力学習を取り入れています。算数なら基本例題を一緒に学んだあと、プリントに取り組ませ、子ども自身に答え合わせをさせます。社会の人物理解の場面なら、感想文を書かせますが、人物に関するキーワードが書き込まれているかどうかが、理解到達度の目安になります。
ただし、ここで終わってしまっては、つまずきを修正できません。「できましたか?」ではなく「どこを間違えましたか?」と問い、つまずいたところを拾い上げて、再度やり直すわけです。この繰り返しが、学習の原点だと思います。 |
▲「書く」ことで自分のつまずきを自覚させる。 「説明を聞いてわかったつもりでも、『自分で書いてみなさい』と言ったら書け ないことが多いです。自分の言葉に翻訳したり、問題を自力で解くことが大事」
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──指導案ではどのような工夫をされていますか?
子どもがどこでつまずいているかを正確に見取るためには、指導案が重要です。
指導案をどこまで緻密につくるかはいろいろ意見のあるところですが、私は、一度は緻密に指導案を立ててみることが必要だと思います。そこをくぐり抜けてはじめて、目標の立て方、授業展開の仕方など授業の基本がわかってくると思うからです。
指導案で大事なのは、目標=評価規準を明確にすることでしょう。
単元の中核目標は何か、そこに到達するために、どんなステップ=時数ごとの目標を踏めばよいのか。授業内容だけでなく、評価の観点も含めた全体構想を立てる(図)。単元全体を構造的にとらえておくと、授業の見通しが立ち、万一どこかで失敗しても、どこに立ち戻ればいいのかがわかります。また、個々の目標は一度だけではなく単元のなかで繰り返し指導することが大切です。 |
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──授業力向上のために必要なものはなんですか?
教師自身の自己評価力だと思います。自分をモニターする力が低下すると、授業も自分のしたいことだけをする独善的なものになりがちです。常に、これでいいのだろうかと「?」をつけながら、自分を評価し続けていく姿勢は、とても大事だと思います。 |
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