ベネッセ教育総合研究所
立山小学校
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一人ひとりの「考える力」を大切にした授業
 「きらきらタイム」でどうしてそのプリントを選んだのかを気づかせ各自の目標を認識させるように、「子どもの願いを大切にする」姿勢は、意欲をもって学習し続けることにつながる同校の実践のポイントの一つだ。

6年生算数
「発想」のパターンごとにグループ分け


 例えば、6年生のTTによる算数の授業(写真5)。「を考えよう」というテーマで、子どもたちが班に分かれて話し合いを行う。ねらいは、「分数を大きさとしてとらえる」こと。
写真
▲写真5 6年生算数の授業。
子どもの「発想」パターンごとに分けたグループで話し合う
 「授業を通して分数の問題を解くことができるようになっても、分数の概念をきちんと理解できていない子どもが多い。分数を使った文章題を考え、仲間同士で解き方を話し合うことで、概念理解を深めようと考えたのです」
 その効果を上げるため、子どものグループ分けの方法に工夫がなされている。前の授業で分数を使ってひき算の文章題をつくらせたとき、例えば「牛乳の量」「テープの長さ」など、子どもが発見した題材の違いに基づいて分けているのだ。
 そして、グループ内で計算の仕方を考え、教え合う。「答えは出せたけれどまだ計算の仕方がよくわからない」というグループはもう一度図や絵を描いてよく考え、「計算の仕方が考えられた」グループは、その考え方でいろいろな問題を解いてみる。グループごとに、自分たちの思考のプロセスや理解度に合わせて話し合いを進めていくことで、一人ひとりが「もっと考えたい」「違う問題も解きたい」という自分の意欲に気づき、深めていけるのだ。

6年生社会
授業のなかで「深く考えさせる」


 6年生社会科の、「聖武天皇と奈良の大仏」についての授業(写真6、図3)では、学習を通じて一人の子どもが強烈に感じた問題意識からスタートし、ほかの子どもはそれを聞きながら、自分の考えを深めていく。このとき、教師は各自の考えを引き出すことに専念し、教師側から「種明かし」はしない。だから見方によっては、曖昧さが残ったまま授業が終了する。
 「授業を通して分数の問題を解くことができるようになっても、分数の概念をきちんと理解できていない子どもが多い。分数を使った文章題を考え、仲間同士で解き方をどもが強烈に感じた問題意識からスタートし、ほかの子どもはそれを聞きながら、自分の考えを深めていく。このとき、教師は各自の考えを引き出すことに専念し、教師側から「種明かし」はしない。だから見方によっては、曖昧さが残ったまま授業が終了する。
写真
▲写真6 6年生社会の授業。「言いたいことは全部言った?」という教師の問いかけに、
子どもが立ったままじっと考える。それを、教師はじっと待つ
図表
▲図3 6年生社会の指導案「単元・聖武天皇と奈良の大仏」から。子どもが
どんな思いを抱いているのか、それをどうつなげていくのかが記されている
 担当した堀江修教頭は、そのねらいをこう語る。
 「授業のあとも、わからなかったことが気になって考え続け、もっと勉強したくなる──そんな経験をさせたいのです」
 算数と社会、どちらにも共通するのは、子ども一人ひとりの考えを大切にし、それに応えようとする教師の姿勢だ。それが、自分で課題をもち、意欲をもって学習し続ける態度を育てることにつながるのだという。


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