ベネッセ教育総合研究所
特集 保護者の教育力を生かす学校づくり
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「開かれた学校」の仕組みを支えるボランティアコーディネーター
 コーディネーターを設けるメリットは、大きく三つある。
 第一は、活動の継続ができる点だ。コーディネーターの多くは、発足時から続けてかかわっている。教員や保護者が数年で入れ替わる一方、地域の人たちはこの仕組みを通じてずっと学校とかかわることができる。「過去の成功や失敗から、教員が逆に教えられることも多い」と教務主任の松井謙太先生も言う。
 第二は、ボランティア活動の効率化である。コーディネーターには教育に対する意識の高い人が集まっているので、活動の手配や事務処理がてきぱきと進む。また、各ボランティアの個人の事情や得意分野にも精通しているため、素早く的確に適材適所の判断をすることができる。
 第三は、教師の負担が軽減されることである。例えば今回の会議で教師側から提案された「読み聞かせ」も、本来なら、ボランティアの手配などすべて教師が行わなくてはならない。しかし、コーディネーターがそれを請け負ってくれるから、教師の負担が軽くなり、子どもたちと向き合える時間が増える。これまでにも、コーディネーターがいなければ実現できなかった企画も少なくない。
 とはいえ、ボランティアコーディネーター側にもメリットがなければ、活動は継続されないはずだ。コーディネーターで学校ボランティアとしても活動している小幡洋子さんは、「授業の補助をした子どもたちから手紙をもらったり、野菜づくりを手伝ったら収穫した野菜を料理して食べるパーティに招待されたり、子どもたちから元気をもらうことが、なによりうれしい」と語る。  大変ななかにも、学校や子どもたちのために役立っているという実感や、自分たちがいないと授業が成り立たないというくらいの個々の責任感が、やりがいや活動の活性化にもつながっているのだ。


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