「情報の受け手」を意識することで、気づきが生まれる |
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4年生の「総合的な学習の時間」にパソコンを使った授業を行った小川先生は、授業の冒頭で「なんのための作業か?」と、子ども自身に作業の目的を実感させるための問いかけを何度も繰り返した。
「これは地域の人やおうちの人、学校中のお友だちに見てもらうためのものでしょ? 見てもらうためには、シートはどういうふうに作らないとあかんと思う?」「自分が楽しかったらいいんかな?」「どんなふうにしたらいいと思う?」
こうした問いかけから、子どもたちは情報の受け手の立場に立って、発信の仕方をさまざまに工夫していた。これは「情報を発信する力」を育てるための最も大事な視点といえる。
「情報の受け手」を意識した作品づくりをしていくうえで、大きな役割を果たしたのが1年前の「スクールイントラパック3」の導入だと小川先生は語る。
「02年度に5年生の担任をしたときには、プレゼンテーションソフトを使って調べたことをまとめ、冊子にしたんです。しかし、冊子にするのと『スクールイントラパック3』に載せるのとでは、つくる側の気持ちが違うようです。とくに子どもたちが最初に目を輝かせたのは、『他の学年の友だちにも自分の発表を見てもらえるんだよ』と言ったときです。きょうだいがいる子は、まず彼らに見てもらうことを想像したと思うんです。見てもらう相手が広がったことで、たくさんの気づきが生まれたと思います」
楽しく効果的な授業を行っていくうえで、教員側のITスキルの向上も大きな課題である。芹川克實校長はこう語る。
「やる気の出る授業を組み立てるには、教師の力量アップが必要です。ITサポーター(注2)をもっとうまく活用したり、教師だけでも授業が成り立つぐらいの気構えが必要なので、自分なりに勉強することが大事になってきます」 |
注2 ITサポーター ベネッセコーポレーションの「スクールイントラパック3」のオプションサービス。専門のサポートスタッフ(ベネッセオフィシャルサポーター)が各学校に毎月定期的に訪問し、授業でパソコンを活用する方法について先生方と一緒に検討し、授業前のパソコン機器の準備や授業中の先生、子どものパソコン操作の補助などのサポートを行う。 |
富田林市では各学校の情報教育に強力なバックアップをしている。IT環境の充実、インストラクターの派遣、IT研修にも力を入れている。しかし、それだけで終わってはいけない、と芹川校長。
「研修ももちろん大事ですが、継続的に力をつけていくには、子どもと同様教師も、楽しむこと、好きになることを起点に、学んでいくことが大切だと思います」 |