ベネッセ教育総合研究所
特集 教室を超えて生きる国語力
朝暘第一小学校データ
  鶴岡市街地南部に位置し、旧城下町時代の職人町・商人町地域と新興住宅地域で構成された、自然環境に恵まれた学区にある。動向は1958年までに、江戸時代の荘内藩の藩校「致道館」の敷地内にあり、 その流れをくんだ「自学自習」をモットーとしている。95年度より図書館活用教育を学校経営の中核に据え。03年度には「第33回学校図書館賞」の大賞を受賞。

校長/富樫恒文先生
児童数/656人
学級数/24学級

〒997-0816
山形県鶴岡市文園町2番1号
TEL 0235-22-0441
FAX 0235-22-0442
富樫恒文
▲富樫恒文校長
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実践事例
山形県 鶴岡市立朝暘第一小学校
学校図書館を児童・教師にとっての
「本のレストラン」に
 国語力の向上に関する大きな課題の一つが、 児童をいかにして読書に向かわせるかだ。 「図書館活用教育」を学校経営の中核とし、 コストをかけない図書館改革で成果を挙げているのが、 山形県鶴岡市立朝暘第一小学校だ。 その取り組みの概要と成功のポイントを探ってみた。


7割の児童が毎日本を借りる学校
  朝暘第一小学校の「致道図書館」は、始業前、休み時間、放課後、いつも児童でいっぱいだ(写真1)。
写真
▲写真1 子どもたちで混み合う朝の図書館。
8時15分までの30分間の貸し出し時間に、100~150人が本を借りていく
 ほとんどの子どもは借りる本がすでに決まっていて、すぐに棚に向かう。友だちの顔を見かけると、「それ、面白かった?」「その本、読んだことある!」「これ、読まない?」「次の巻は○○くんが借りてたよ」など、本を中心に会話が弾む。朝暘第一小学校の児童が心から読書に親しんでいることを教えてくれる風景だ。
 朝暘第一小学校が「図書館活用教育」を学校経営の中核に据え、図書館活動に取り組み始めたのは1995年のこと。それから10年を経て、朝暘第一小学校には大きな変化が訪れた。一人あたりの年間平均読書冊数は、94年度の51冊から03年度には127冊へと増加。不読傾向の児童数も96年度の378人から03年度には15人へと激減した。そして今では全校児童の約7割がほぼ毎日、新しい本を借りている。
 読書は子どもの心を落ち着かせ、粘り強く思考する姿勢を育む。読書量の増加とともに、児童は人の話をさまざまな場でしっかりと聞けるようになり、落ち着いた集団が形成されていった。そして全校朝会などでの私語も減り、本を通じた会話が弾むなどの効果も見られるようになった。
 また、図書館を日常的に活用できるよう、館内のレイアウトにも工夫をしている。2教室分の広さがある図書館の両端に机とイスを並べ、2学級が同時に図書館で授業を行えるようにしているのだ(図1)。
図表
▲図1 朝暘第一小学校「致道図書館」案内図
資料を借りるために授業中に図書館を訪れる学級もあり、毎時間、少なくても1学級、多いときは4、5学級が図書館を利用している。資料を使って調べ学習をし、まとめ、発表する機会を多く取り入れた結果、情報活用能力や「読む」「書く」「話す」「聞く」といった国語の総合的な力も向上してきた。


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