ベネッセ教育総合研究所
特集 教室を超えて生きる国語力
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10年間の歩みの中で
 図書館にひっきりなしに児童が訪れる朝暘第一小だが、図書館活用教育が始まった95年度当時は、今の活況とはほど遠い状態にあった。そのころ着任した学校司書の五十嵐絹子先生は、当時をこう振り返る。
 「図書館は元給食調理室で、校舎の奥にあり、暗い雰囲気のところでした。訪れる子どもも少なく、静かに本を読める子は学級の中で2~3割。本探しでほとんどの時間を費やす子も少なくなかったのです」
 着任当初、五十嵐先生は、図書館を「本のレストラン」にすると宣言。児童が足を運びたくなる場にするため、窓にはレースのついたカーテンをかけ、ぬいぐるみや植木鉢の草花を置いた。96年度には、昇降口に近く、だれでも入りやすい現在の場所への引っ越しも実現した。
 「予算はほとんどかけず、他の学校からいらなくなった机やイス、棚をもらったりしました。リサイクル図書館ですね」(五十嵐先生)
  図書内容は定期的に見直し、古い図書や資料的価値のない本は思いきって処分し、子どもの読みたい本、授業で使える本を優先的にそろえた。人気の本のなかには、順番待ちをしなければ借りられないものも多い。とはいえ、朝暘第一小学校の図書予算に特別の充当があるわけではない。現在の蔵書数は約1万1千冊。市費の他に保護者からも出費をお願いしているが、学習に必要な本や学級文庫は市立図書館からの特別貸し出しも利用している。
 こうした工夫を経て「本のレストラン」となった図書館に、子どもたちの足は自然と向かっていった。


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