特集 「考える力」を引き出す授業―理数教科からのアプローチ―

千代田区立九段小学校

1903(明治36)年、東京市上六尋常小学校として開校。その後、東京市東郷尋常小学校となり、1947年に現在の校名に改称される。区研究協力校として、理科や国語、算数などの教科の研究に取り組む一方で、98年度には、全国小学校道徳研究会・第20回研究発表大会で道徳の公開授業や研究発表を実施するなど、長年、道徳教育にも力を注ぐ。校内には九段幼稚園が併設されており、幼小が連携した教育活動も展開する。

木村昭延

校長 木村昭延

児童数 306人
学級数 12学級
所在地 〒102-0075 東京都千代田区三番町16番地
TEL 03-3263-0564
FAX 03-3288-3418
URL http://www.kudan-e.ed.jp/

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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実践事例<理科>
東京都
千代田区立九段小学校

単元構想を明確にした理科教育で問題解決の力を育てる

2003年度から2年間文部科学省の「理科大好きスクール」に指定され、05年度には「理数大好きモデル地域事業」の対象校となった九段小学校。理科教育を通じ、児童の主体的な問題解決の力を育成している九段小学校の実践内容を紹介しよう。

子どもの意識の流れを踏まえた単元構想

 九段小学校では、おもに理科・生活科の授業を通じ、全校で「主体的に問題を解決する能力」の育成に取り組んでいる。その中心となるのが、子どもの意識の流れを踏まえた単元構想だ。各単元は、基本的に以下の過程で展開される。
(1)子どもの興味を引く教材を用意し、そこから「問い」が生じるように仕向ける。
(2)問いを解決する方法を計画させ(低・中学年の場合は、基本的に教師が提示)、 結果を「予想」させる。
(3)実験や観察を行い、その「結果」が予想通りであれば「確証」、予想に反していれば「反証」をし、「結論」を導かせる。
 このように、各単元で、「問い」→「予想」→「結果」→「確証(反証)」→「結論」の過程を繰り返し、問題解決の力を育てようという考えだ。
 では、それぞれの要素は、指導のなかにどのように反映されているのか。電気や電流、光の特性を学ぶ4年生の単元「電気のはたらき」の授業を事例として検証しよう。

図1
 この単元の教材にはモーターカーが採用されている。単元の導入では、モーターや乾電池を組み合わせてモーターカーを自作させ、子ども同士で競走させた。「どうすれば速く走るか」という「問い」につなげるのが目的だ。理科を専任で指導する石井雅幸先生は説明する。
 「最初に学習への目的意識を明確にすることで、単元を通して子どもの意欲や関心は保たれます。それを徹底しなければ、授業の目的が不明確になり、退屈な授業になりかねません」
 子どもたちは乾電池を増やせば速くなると予想し、その通りの結果を得る。ところが、乾電池を増やしても速度が変わらない場合もある。そこで、乾電池のつなぎ方に関係があるのではないかと予想する。「問い」から発生したアイデアや疑問を追究しながら、単元への理解を深めていくのだ。


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