ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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今年度の重点項目は読書読む習慣づくりで、学力の向上へ
 朝のモジュール学習による基礎・基本の定着も学力向上の要因として忘れてはならない。
 「中でも読書は、国語の読解力だけでなく、算数の文章題を解く力や、その他の教科の問題を読み解く力につながるものなので、読書に力を入れたことで総合的な学力アップにつながったのだと思います」(天谷校長)
 この成果を受け、平成16年度はさらに読書に力を入れることにした。週1回、モジュールの時間に設けられていた読書を毎朝8時25分から10分間の「朝読書」の時間として教育課程の授業時数の枠外に固定し、読書の習慣づけを図っているのだ。(写真)
写真 「朝読書」の時間
■写真 「朝読書」の時間
各教室には、学級ごとに図書館から借りた本が学級文庫として並んでおり、8時25分のチャイムが鳴ると、先生の姿はなくてもそれぞれが好きな本を手に取って席につき、静かに読み始めた。朝読書は、子どもたちにすっかり定着しているようだ。
 廊下には、読書の賞状がずらり。学校独自の推薦図書を各学年で年間10冊ずつ設け、そのうち7冊読んだら校長先生から賞状がもらえるという仕組みになっている。目標を設定することで読書量を増やすのがねらい。
 「約3分の1の児童が、1学期中には7冊読み終えますよ」(天谷校長)
 また、3年生以上で実施した習熟度別学習の確かな手ごたえを踏まえ、16年度は1、2年生の算数でも副担任とのT・T体制を組んで、個に応じた指導に力を入れている。
 モジュールから読書が外れた分には、市販のドリルを使った視写(注2)や言語に関する学習などを取り入れ、言葉に親しむ時間を多くした。

(注2)書き写しの取り組みを第二瑞光小学校ではこう呼んでいる

15年度末の学力調査結果で、国語の「言語事項」が荒川区全体の達成率より10ポイント近く低かったからだ。
 「調査はただ結果を眺めて終わりではいけない。『学力向上のための調査』であり、そのために何かをしなくては意味がない」と天谷校長は考える。15年度の取り組みが調査結果として如実にあらわれたのを目の当たりにし、先生たちの間にも、学力向上のための取り組みは大切だという認識が生まれた。
 「学力が低いのは子どものせいじゃない。教師がきちんと個に応じた丁寧な指導をすれば、子どもの学力は伸びると、我々は確信したのです」(天谷校長)
 学力調査は、子どもたちの学力の向上だけでなく、先生たちの意識改革にも大きな成果を生んだと言える。
 ただ、これだけ調査結果が飛躍的に上がったにもかかわらず、学校選択の理由を尋ねたアンケートで「学力調査の結果が良い」と答えた保護者はゼロ、「読書活動」という答えもわずか一人にとどまった。下町という地域特性もある程度踏まえつつ、今後は学校の取り組みをもっと意図的に保護者にアピールしていく必要性を天谷校長は感じている。
 また、家庭学習時間の少なさも今後の課題の一つである。
 「これからは、保護者や地域を取り込んだ取り組みをしていきたい」と天谷校長。第二瑞光小の学力向上に向けた挑戦は、次のステージに移ろうとしている。
 
「学力調査」の活用と工夫
学級経営案や指導案の立案にも調査結果を盛り込む
第二瑞光小では、学力調査の結果を学級経営案や授業研究の際の学習指導案に必ず盛り込むようにしている。
「調査によって学級や学年の子どもの特性がつかめるので、『ここが弱いからこういう指導をする』というように、具体的な方策も立てやすくなりました」(米澤教頭)
以前なら、そのような学年や学級の特性は、担任が日常の観察や指導記録によってしか捉えられなかったので、年度変わりに前担任の異動などがあると、十分に引継げないこともあった。しかし、今は客観的な調査データが残っているので、情報をみんなで共有できるようになったのが大きなメリットだ。
「これから調査データが蓄積されれば、子どもたちが6年間でどんな力をつけることができたのかなどの経年比較も可能なので、さらにきめ細かな指導ができます」(米澤教頭)


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