ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
中村恭子校長
中村恭子校長

福岡県福岡市立
弥生小学校
〒816-0093
福岡市博多区那珂4-9-1
TEL/092-451-1935 FAX/092-451-1936
http://www.fuku-c.ed.jp/schoolhp/elyayoi
校長/中村恭子先生 生徒数/355人 学級数/12学級

弥生小学校は九州の玄関口・福岡空港の南西部に位置し、国道3号線が近くを走る。1985年の開校に先立つ敷地内の発掘調査では、弥生時代前期の貴重な那珂久平村落遺跡が発見されたため、学校名を「弥生」小学校と命名した。同小では3年前に校内LANを導入。授業以外にも、図書のバーコード化など、積極的な活用を行っている。

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テーマ5 学校の経営力を生かした学力向上の取り組み(2)
教師たちの共通理解と熱意が
継続的な取り組みを可能にする
 朝の「腰骨立ての時間」に象徴される基本的な生活習慣の重視が弥生小学校の指導の骨格となっている。その基礎の上に、学力向上の取り組みがある。教師による共通理解が、わかる授業や保護者への発信力強化などの様々な取り組みにつながっている弥生小学校の様子を紹介する。


一日の始まりは「腰骨立ての時間」から
 福岡市立弥生小学校の朝8時30分。始業のチャイムとともに校内放送が入る。
 「全校のみなさん、おはようございます。10月12日火曜日、『おちつきの日』の『腰骨立ての時間』です」
 担任といっしょに、「腰骨の詩」(写真1)を暗誦したあと、3分間、静かにいすに座って腰骨をしっかり伸ばす…。3年前に取り入れたこの日課から、弥生小の一日が始まる。(写真2)
写真1
■写真1 「腰骨の詩」
この詩が各教室に掲示されている
写真2
■写真2 「腰骨立て」の姿勢
 「この学校では、みんなで一緒に取り組むことがとても多いんですよ」と初任者研修担当の土師寛子先生。ベテランの土師先生自身、2年前に前任校から赴任した当初は「この学校は、なぜこんなことをやっているの?」ということが多くて驚いたそうだ。
 弥生小学校がこだわるもう一つの日課は、校内放送の中にもあった「曜日目標」だ。(写真3)
写真3
■写真3 曜日目標
月曜日は「名前の日」、火曜日は「おちつきの日」というように、曜日ごとに定めた行動目標を朝一番に確認し、帰りの会で子どもたち自身が成果を確かめ合う。さらに月の第一週は、毎朝10分間、その曜日目標の意義を先生が伝えて全員で確認する。これを85年の開校以来続けているというのだ。
 弥生小がここまで基本的な生活習慣の定着にこだわるには、理由がある。共働きで子どもになかなか目が行き届かない家庭の子どもが多く、遅刻をしない、身の回りをきちんとするなど、家庭で本来行うべき習慣づけを学校でも担わなくてはいけないという校区の事情を抱えているのだ。一つひとつの取り組みを形骸化させずに継続するというのは、並大抵のことではない。教師一人ひとりがこれらの取り組みの意義を十分理解したうえで、全員が足並みをそろえてこそ可能になるのだ。


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