ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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弥生小の学力向上の取り組み

 弥生小は、2001年度から3年間、福岡市の「社会科生活科研究指定校」として、社会科・生活科の授業研究に取り組んできた。その研究構想が図1である。この3年間の研究実績をふまえて、図のような問題解決学習のステップを他教科でも実践していきたいと考えている。

図2
■図1 社会科研究の研究構想図
図中の3つの手立てをとることで、社会科・生活科の基礎・基本の定着を図る

 この実践のため、弥生小では教師の力量アップにとくに力を注いでいる。例えば日常の授業指導案の作成。(図2) 初任者は毎週、授業参観などの際には詳細な授業指導案を作り、他の先生から指導・助言を受ける。

図1
■図2 授業指導略案の例(4年生・算数)
指導・助言を受けた時の書き込みが入っている

日常の指導案の中心は、緻密な「板書計画」「主要発問計画」だ。どのような板書にすれば子どもたちが理解できるか、どの時点で、どのような発問をすれば子どもの思考力・表現力が高まるか。弥生小では、指導案の中に板書計画まで記述することで、より授業に近い形での検討が進む。これらのポイントにおける工夫が、指導案では重点的に確認される。指導案を書く側、助言する側、双方ともに着実に「授業力」がつくという。
 一方、問題解決学習を行うには、子どもの基本的学力がベースになることは言うまでもない。弥生小はこの基礎基本について、次のような取り組みを行っている。
(1)朝の読書タイム(毎朝10分)、ボランティアによる読み聞かせ(全学年学期に2回、各45分)…聞く、読み取るといった基本的資質を育てる。
(2)学期初めの漢字・計算復習テスト…前学期(1学期は前学年)の範囲の漢字・計算テストを行い、子どもたちがどこでつまずいているかを把握し、フォローにつなげる。
(3)学力保証日(毎週金曜5、6時間目)…漢字、計算力など、定着していない基礎学習の部分を振り返り、補充していく時間。学年によりどちらかの1時間を利用する。
(4)少人数制の授業(算数)…重点単元や操作を行う必要のある単元、計算力をつけたいときなどに、クラスを2つに分けて授業を行う。この際、自分の考えを「書く」「操作する」時間と教師の支援が、十分に保証されるように考慮している。
 このような方法で各教科の基礎学習をしっかり定着させることが、図1に示された「であう」→「つかむ」→「さぐる・つくる」→「ふりかえる」→「いかす」といった問題解決学習の過程をよりスムーズに進めていくカギとなる。



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