ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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風通しのよい教師間の連携が、施策を成功に導くカギ

 学校要覧の「本年度の重点」には、「チャンス・チャレンジ・チェンジ with スマイリングを合言葉に!」と書かれている。これは、子どもたちだけではなく、教師たちの合言葉でもある。まずは先生が笑うこと。常に遊び心をもち、世代を超えて情報を共有し、先輩教師が後輩に声をかけ、後輩は先輩に気軽に相談をする。この素地があってこそ、一つひとつの取り組みを全員で協力して進めるという弥生小の特色が生かせるのだろう。中村校長の気さくながらきっぱりとしたリーダーシップが心強い。
 「私たちの取り組みの答えは、必ず子どもたちから返ってきます」
 弥生小では04年度、「英会話活動支援事業」の支援を受け、ネイティブの先生による英語の授業を行っている。
 「ITでも英語でも、子どもたちにはできるだけ多くのことにチャレンジできるチャンスを与えたい」と中村校長。その熱意と実行力で取り組んできた成果が、来年度の学力調査ではどのような数値となってあらわれるか。今から大いに期待されるところである。

 
「学力調査」の活用と工夫

弥生小では、03年度は別の調査を実施したが、学習意識と学力調査の両面から子どもの実態に迫ることができることに魅力を感じ、04年度初めてベネッセの学力調査を実施した。調査結果については、次の3ステップを踏んで教師・保護者が共有化を図った。
(1)職員研修を行って結果分析 
職員研修会を開き、ベネッセの担当者の説明を通して、結果の分析・指導の重点の把握、保護者に向けての説明のポイントなどを話し合うことで、教師全員が結果に対して共通理解をもつことができた。また、学力と生活習慣をクロス分析することで、生活習慣の重要性も共有化できた。
(2)懇談会で全体結果を保護者に説明
保護者向けの結果報告資料を作成。懇談会の際に、調査の主旨説明と、子どもたちの学習・生活面での全体像の説明を行った。
(3)家庭訪問で、個人結果を報告・アドバイス
夏休みの家庭訪問の際に、担任が個票を示して結果を説明。1学期の成績結果も踏まえながら、子どもの弱点を克服できるよう、家庭学習や生活面での具体的なアドバイスを行った。
学力調査では、子どもの学力面・生活面の客観的な数値がズバリと出るため、結果に対する親の受け止め方が、通知表だけの場合とはまったく違っていたという。もちろん、教師が事前の研修を通して十分な準備をしたことで、保護者により説得力のある説明ができたことも一因であろう。
実際、普段から学習意欲が低く、継続学習が苦手だった子どもたちの中には、保護者の働きかけにより2学期に入ったとたん、態度がガラリと変わったケースもあった。
「自分から『先生、宿題してきたよ』と言って来たり、授業中に手を挙げる回数が増えたりしてきました。夏休みの保護者の働きかけが功を奏したのでしょう。子どもたちも、継続して取り組めばわかるようになるんだという自信がついたようです」(土師先生)



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