ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
渡邊二夫校長
渡邊二夫校長
木澤英二教頭
木澤英二教頭

新潟県長岡市立
青葉台中学校
〒940-2145
新潟県長岡市青葉台1甲222-1
TEL/0258-47-0990
URL/http://www.kome100.ne.jp/aobadai-jhs/
E-mail/55aoba@kome100.ne.jp
校長/渡邊二夫先生 生徒数/214名 学級数/6学級

青葉台は長岡市の中心部から南西約10kmに位置している。学区は、古い歴史を持つ大積地区と宮本地区、ニュータウン構想により建設された青葉台地区からなる。周囲には緑豊かな田園風景が広がる。連帯意識も強く、学校運営に対しても協力的な地域で、「総合的な学力向上」「生きる力の育成」「地域に根ざした学校づくり」を進めている。
※取材は新潟県中越地震の前に実施しました。
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テーマ5 学校の経営力を生かした学力向上の取り組み(3)
具体的な数値目標を宣言し、
学校全体で指導改善に取り組む
 学校として、子どもの学力向上の目標を保護者や地域に説明する。
こうした取り組みは学校評価の取り組みと合わせ、各学校で広がりつつある。しかし、「どの力をどれだけ伸ばすのか」といった点を具体的な数値を用いて約束している学校はまだ少ない。学校の具体的目標を示し、PDCAのサイクルをまわしている青葉台中学校の取り組みを紹介する。


教科学力を支える「力」を知るデータが必要
 長岡市立青葉台中学校では、2004年2月に、学校独自で「学力調査」(注1)を実施した。

(注1)ベネッセの「総合学力調査」。教科学力に加え、「学びの基礎力」「生きる力」を加えたトータルな学力を捉える調査

 そのきっかけとなったのは、新潟県主催で03年12月に開かれた「『総合的な学習の時間』を核とした特色ある学校づくり講座」に、木澤英二教頭がシンポジストとして参加したことだった。当日の講師は、大阪教育大の田中博之助教授。教科学力だけではなく、「生きる力」や「学びの基礎力」を加えたトータルな学力を捉えることの必要性を説く田中氏の総合学力論に、木澤教頭が共鳴。学力向上のためのグランドデザインの一環として、学力調査の実施を渡邊二夫校長に申し出たのだ。
 「当校の生徒は素直で勉強にも真面目に取り組みますが、学んだことの先を考える力に不十分さを感じていました。いろいろな分野に興味を持つものの、関心が主体的な追究に結びつかないのです。ところが保護者は、発明工夫作品を創作している姿よりも、英単語の練習や計算練習に取り組んでいる姿を『勉強している』と捉えることが多いのです。そこで、問題解決力の大切さを実態に基づいたデータという説得力のある形で示して、保護者の理解を得ようと考えたのです」(木澤教頭)
 普通のことはよくできても、プラスαのことに気づく力に欠けた生徒が多い。それは、03年度に赴任したばかりの渡邊校長も同じように抱いた実感だった。たとえば、理科系の得意な生徒は工業高校への進学は考えるが、少し視野を広げて高専や大学の工学部を目指すところまではイメージできていないのだ。
 「将来へのビジョンや夢と切り離して高校進学だけを目標にしても、本物の学力はつきません。教科学習に対する意欲を高めるために、まずは生徒が自分自身を知り、生きる目標を見つけていくことだと思います。
 木澤教頭の提案を受けて学力調査実施に踏み切った最大の理由は、教科学力に加え、生徒の意識調査や教科学力を支える力に関する項目が含まれていたからでした」(渡邊校長)


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