ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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「学校課題解決アクションプラン」で具体的な数値目標を宣言
 学力調査の結果は、日頃から先生方が感触として捉えていた生徒たちの学力の実態を裏付けるものだった。
 教科の基礎学力に関しては高いレベルの定着が見られたが、それに比べて応用分野の学力到達度は低く、加えて、教科学力を支える力としての「自ら学ぶ力」「学びを律する力」「問題解決力」のスコアが低いことが示されたのだ。また、全ての教科において、生徒の約20%が授業内容を十分に理解していないという実態も浮かび上がった。
 「指導する側の問題点は、生徒たちが『わかった・できた』と実感できる授業が少なかったことと捉えています。さらに、考える過程を重視した授業が十分に行われていなかったこと、それを具体的に応用発展させる場が計画的・組織的に位置づけられていなかったこと、生徒の意欲の高まりを促す計画的な働きかけが不十分だったことなども反省点としてあがりました」(木澤教頭)
 そうした分析をもとに、生徒や保護者に対して、学校課題解決アクションプラン(図1)を配付し、学校運営の課題や学力の到達目標、指導方針などを「宣言」という形で発信。
図1
■図1 学力調査のデータを組み込んだ「平成16年度の学校課題解決アクションプラン」

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なかでも学校の重点課題と位置づけたのが、「豊かな体験や学ぶ意欲に裏付けされた豊かな学力を育成する」ことだった。
 具体的には、「基礎学力の徹底を目指して国語・数学・英語の確認テストで通過率80%以上を実現する」ことや「学力調査において教科基礎学力の到達度75%以上を実現すること」などを達成目標として宣言している。
 このアクションプラン作成の前提として、目指す姿から捉えた学校の現状と、指導上の問題点などをもとに、「学力向上チャート」(図2)をまとめ、それに基づいて目標を定めていった。
図2
■図2 「学力向上チャート」
目指す姿から捉えた学校の現状と指導上の問題点などをもとに作成されている
A・B学力:新潟県全体で定義している学力分類
A学力…学習指導要領に基づく「学力」に向かうための基礎学力
B学力…学習指導要領に基づく「学力」
 「宣言の内容は、生徒が従来どおりに勉強をしていけば到達できるレベルに、少し努力をすることで得られる数字を上乗せしたものです。生徒の実力と可能性から導き出した目標なので、子どもたちと一緒に1年ずつ達成に向かって進んでいきたいと思います」(渡邊校長)


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