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児童一人ひとりの指導プランを作成
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調査結果は、外部の専門機関により、学校全体、学年別、クラス別、児童別と、多角的に分析されていた。この結果を、学力向上に関する校内の推進組織や各学年で検証した結果、課題として学年差やクラス差があることが明らかになったが、その根本的な要因として渋江小学校が注目したのは、児童別のデータだ。
「児童別のデータでは、例えば、算数は基礎、応用といったレベル別だけではなく、数量や図形についての表現・処理など、観点ごとに評価されており、『どんな力が足りないか』『何を教えなければならないか』といった一人ひとりの課題が一目瞭然になっていました。その一つひとつを見ると、児童によっての個人差があまりにも大きく、ショックを受けました」(松山校長)
松山校長は、まず担任がクラス一人ひとりの子どもを把握する必要があると判断し、すべての子どもの課題を洗い出し、それぞれに改善策を練ってもらうことにした。
それが、児童一人ひとりに対応した個別指導計画書だ(図1)。担任は子どもの日ごろの授業での様子や調査結果をもとに、課題と改善策を夏休み前までに書き出し、校長に提出。それを2、3学期の授業に反映させ、2月には取り組みの成果としての児童の変容を記入した。これを調査対象の4~6年生だけでなく、1~3年生の担任も実践したのだ。松山校長は個別指導計画書の観点を次のように説明する。
「抽象的な表現では、実際の授業に反映することができません。どのような力が弱い、何年生の何の単元を身につけていないなど、できるだけ具体的に課題を示し、授業で実践することを思い描いて改善策を立ててもらいました。個別指導計画書を記述する作業は、個に応じた指導を工夫するうえでの教師の意識を高めました。児童の変容記入後も、課題改善に向け、学年の最後まで取り組んでもらいます」
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個別指導計画書には、児童一人ひとりに対して設定した課題と改善策を夏休み前に記入。2学期から3学期を通じて改善策を実施し、その結果の児童の変容を2月末に評価して、結果を書き込む |
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学習到達度調査、および学習意識調査によって顕在化した課題を改善する取り組み。それぞれが相乗的な効果を生み、子どもの学力を底上げする |
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