教育現場の挑戦 小学校からのキャリア教育

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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キャリア教育の効用を教科や行事にも広げる

 教師が取り組みの効果を一番感じたのは、児童の変容だ。工藤校長が望んだ、大きな声で元気よく明るく歌を歌う子どもたちの姿が自然に見られるようになった。低学年では、実際に地域に出かけたときに挨拶ができるようになり、中学年では、自己有用感を味わい張り合いを持って学習でき、人とのかかわり方においてグループで協力したり、役割分担しまとめることができた。高学年では、自分の課題を意識し、計画的に活動することにより、仕事の意義を知ることができた。
  地域住民からも、「原東の子は挨拶がよくできるね」という声も寄せられる。不登校の児童も減少している(図3)。保護者からも「発表会で子どもの発表を聞き、人前で堂々と話す力がついてきたと感じた」「子どもと話すことが増え、学校の様子がわかるようになった」という声が届き、学校評価のアンケートでは、「一人ひとりが良さを認め合い、高め合う子の育成をめざした教育を推進している」といった項目に対する肯定的な評価が上がっている。
  原東小学校の取り組みが成果を出した原動力は、元気を取り戻した教師たちの存在だ。
  「原東小は、めざす子ども像をはっきりとさせ、それに向けて計画を立てていきます。今、行っている教育活動がどんな子どもの姿をめざしているかが明確になれば、教師もやりがいと自信を持って活動に取り組めるようになります。そんな教師の姿は児童にも良い影響を与えるでしょう。教師が変われば子どもも変わるのです」(工藤校長)
  実際、教師たちからの発案で、生活科や「総合的な学習」に限らず他教科や修学旅行、運動会などの行事でも三つの力を生かした実践が広まろうとしている。キャリア教育の冊子は、05年度に更に改訂された。原東小学校のキャリア教育の進化は、これからも続くだろう。
図3

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