地方分権時代の教育行政 千葉県野田市
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学校裁量の拡大で創意工夫を引き出す

 もっとも、教育委員会が一方的に支援するだけでは、学校の創意工夫を引き出すことは難しい。そこで、事業の大枠は市教委が決めるが、方法や時期などは各校の判断に委ねられている。
  例えば、野田市では06年度から二学期制の一部を改正し、授業日数を5日間増やすことにしたが、全校統一で授業日と定めたのは2日間のみ。残り3日間は夏休み中に自由に設定できるようにし、実施内容も各校の判断に任せた。
  「これまで、教育委員会のトップダウン式で事業を進める場合が多くありました。しかし、教育環境整備事業では、できるだけ学校の判断を尊重し、市教委がそれをバックアップする態勢を整えています。事業のグランドデザインに示される施策を準備しますが、学校がその中から選択していくわけです。学校が各自の課題に合わせて教育活動を工夫することが、特色ある学校づくりにつながっていくと考えるからです」(近田孝夫学校教育部長)
  事業導入から4年、成果は徐々に現れてきている。各校の自由裁量のもと、地域の人材や資源を積極的に活用した教育活動が展開される中で、各校の持ち味が発揮されつつあるのだ。
  市南部に位置する福田地区では、豊かな自然環境を生かした自然観察や星座観察が始まった。また、北部の関宿地区では小規模校区の特性を生かして、小・中合同の運動会や音楽会を実施するなど、地区内の学校同士の連携が行われている。
  こうした市教委の姿勢を学校はどのように受け止め、個々の取り組みを実践しているのだろうか。野田市立二ツ塚(ふたつか)小学校における地域連携の事例を通して、学校現場の実情を見てみたい。

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