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教師が変わると、子どもも親も学校も変わる
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木部先生が南陽小学校に赴任した2006年4月。担任となった5年生のクラスの子どもたちは、クラス替え直後でもあり、互いにかかわり合いを持とうとしていなかった。学校を休んだ児童への届け物を頼もうとしても、「どこに住んでいるか知らない」と返ってくる。子ども同士でちょっとしたトラブルがあっても、先生に告げ口をするばかりで、自分たちで解決しようとしない。授業中、先生に指名されてどこを読めばよいかわからない子がいても、隣の子は知らん顔。そうした児童たちの姿の背景には、想像力の欠如があるのではないか、と木部先生は分析する。
「相手がどう思っているのかを想像できて初めて、自分がどうすべきかの判断ができ、そして自分の行動が決定されます。『指示待ち人間』といいますが、今の子どもは、親に『こうしなさい』と言われないと動けなくなっているのでしょう」
「人のことをもっと気にして、おせっかいと思われるくらいがちょうどいいんじゃないの?」
そんな語りかけを続けたところ、2、3か月後には子どもたちの日常が大きく変化してきた。友だちとのトラブルを言いつけに来た子どもは、木部先生から相手と直接話すように促され、自分で解決した。授業中、子どもたちが教え合う姿も見られるようになった。「座れよ!」と声を荒げていた女の子が、「座りなよ」と普通に声をかけるようになった。すると、かつて応じようとしなかった男子児童も素直に座るようになった。
子どもが変化するにつれ、保護者も変わってきた。運動会後の保護者アンケートの回収率が、05年度の4年生時は5割強だったのが、5年生になった今年は9割強に増えた。稲富三夫校長は、この変化の意味は大きいと話す。
「学校への関心が高まっていることを裏付けています。かつて保護者には、学校に対してあまり期待していない面が見られましたが、学校を見る目が明らかに変わってきました」
教師の意識も変わりつつある。授業を見学し合う機会が増え、「響き合う授業づくり」を柱にした校内研修会も月1回以上行っている。
「教師同士で共感しているか、子どもは見抜いています。教師が響き合っていないと、子どもが響き合うことはできません」(木部先生)
「教え込む教師が良い教師というわけではありません。それでは新しいものは生まれません。教師が変われば、子どもが変わり、保護者が変わる。そして、学校全体が変わっていくはずです(図2)」(稲富校長)
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