特集 コミュニケーションが生まれる授業づくり

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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Column

言語技術指導の概要

 広島県が行う言語技術指導とは、(有)つくば言語技術教育研究所(注2)が提唱する指導法だ。思考を論理的に組み立て、相手が理解できるようにわかりやすく表現する「ことばの力」を育むのが狙い。次の四つが柱になる。
(1)議論=話す・聞く (2)読解=読む
(3)作文=書く (4)思考=考える・論理的思考・分析的思考・批判的思考

  これらは、全教科の基礎となる力だ(図1)。具体的な指導法は、本文で取り上げた「問答ゲーム」「描写と説明」のほか、「再話」「分析」などがある。このうち「問答ゲーム」は、言語技術の土台となるものだ(図2)。
  「再話」は、物語を聴いてメモし、それを基に物語を再現するもの。聴いて理解する力、スラスラ書く力、物語の筋を論理的に追う力などが向上する。作文の際にも威力を発揮する。
  「分析」は、例えば絵を見たとき、場所や季節、天気などの設定、人物、色、構成などを探り、その意味や、全体のテーマを読み取るもの。観察力や判断力を培う。
  言語技術教育の基礎となる「問答ゲーム」のパターン(1)主語 (2)意見(結論) (3)理由・根拠は、英語を習得する際の武器にもなる。欧米人の思考や言語にはこのパターンが根付いているからだ。このパターンで日本語による思考や会話、文章がしっかり構成できるようになれば、英語の習得が早いほか、将来国際社会で対等に議論できる力を培うことができる。
  ただし、同研究所の三森ゆりか所長は、言語スキルだけでなく心情面でのコミュニケーション力を養うことも大切だと話す。
  「議論は論理的に進めても、心情を読み取るような教材を選び、人と人とのつながりや気持ちについて深く議論することなどが大切です」

注2:(有)つくば言語技術教育研究所は言語技術教育の研究・開発、教室の運営、研修、講習などを行う民間の研究所。
http://members.jcom.home.ne.jp/lait/index.htm

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