地方分権時代の教育行政 愛知県東海市
愛知県
東海市立名和小学校

1904年に開校し、100年を越える歴史を誇る。校地は、ヤマトタケルノミコトが東国遠征の際に船を着けたという伝承がある「船津神社」に隣接する。教育理念は「子どもたち1人ひとりが魅力を感じる学校づくり」と「保護者・地域から信頼される学校づくり」。

 

校長●滝上誠一先生
児童数●753人
学級数●23学級
〒476-0002
愛知県東海市名和町山東10
TEL 052-603-1151
FAX 052-603-1152
URL http://www.nawa-e.
aichi-c.ed.jp/

滝上誠一

▲東海市立名和小学校校長

滝上誠一

Takigami Seiichi

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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[実践事例]

愛知県 東海市立名和(なわ)小学校

地域に伝わる「猩猩(しょうじょう)」を核に特色づくりを推進

伝統の「猩猩」を通じて地域との交流を深める

 「『輝く学校づくり』の話を聞いたとき、最初は混乱しました。何をすれば本校の特色が出るのかわからなかったからです。ただ、子どもたちが地域や郷土に対して誇りを感じられるような取り組みをしたい。それに『開かれた学校』という言葉だけで終わるのではなく、地域と互いにキャッチボールができる題材は何かないだろうか……そう考えているとき、『猩猩』の存在が浮上しました」
  東海市立名和小学校の滝上誠一校長は、「輝く学校づくり」が2005年に事業化され、テーマを立案したときのことを、こう振り返る。
  「猩猩」は、名和小学校の地元、名和町の祭りで象徴的な出し物として親しまれている「張り子の大人形」(写真1)。祭りに集まった人たちを棒で叩いて練り歩き、福を呼び込むとされている。05年には地元の祭囃子(まつりばやし)保存会が「愛・地球博」で猩猩を紹介するなど、地域の人たちに親しまれている存在だ。

写真1
写真1 猩猩は張り子の人形のことで、これは子どもたちがつくった猩猩。東海市こどもフェスティバル・子ども芸能大会に出演した

  「本校には100年を越える伝統があります。伝統校として地域と共に名和の歴史を知り、それを未来へと生かしていくことのできる題材が猩猩だったのです。古くからある集落の子どもたちは祭りの手伝いを通して猩猩の存在を知っていますが、新興住宅地に住む子どもたちは、猩猩に深くかかわったことがありません。そんな子どもたちにも、名和という地域と学校に誇りを持てるのではないかと考えました」(滝上校長)
  しかし、猩猩を知らなかったのは、新興住宅地の子どもたちだけではなかった。地元出身ではない教師たちは、「何から取り組めばいいのか」と戸惑った。特色づくりは、教師がビデオカメラを携え、地域の祭りを見学することからスタートした。
  「自宅と学校を往復するだけだった教師が、学校のある地域で開かれる祭りに参加したこと。これは教師にとって大きな意識変化になったと
思います」(滝上校長)
  地元の保存会に協力を打診したところ、「教えたる!」とばかりに快く引き受けてくれた。子どもたちによる猩猩づくりには保護者も自主的に参加し、地域や保護者の熱い思いが猩猩を通して学校に向けられるきっかけにもなっている。子どもたちは既に4体の猩猩を制作し、運動会や市のフェスティバルで披露した。この夏休みには、「嚶鳴祭(おうめいさい)」(東海市青少年文化創造事業合同発表会)で演じる劇「紙芝居―猩猩―」にも、子どもたちは特別参加する。
  猩猩づくりは「総合的な学習の時間」の中で行われているが、図工の時間でのお面づくりや情報教育での猩猩クイズづくりなど、そのほかの教科も活用している。更には、「日本文化クラブ」も発足した。


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