第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例1]石川県小松市立今江小学校

School Data

石川県 小松市立今江小学校

2003年度に創立130周年を迎えた。近隣住民に今江小学校の卒業生が多い地域性や、自然や歴史的遺産に恵まれた環境を生かし、「総合的な学習の時間」では地域と連携した活動を展開。04年度から2年間、石川県の「『評価を生かした学力向上推進事業』実践研究校」、市の「教育課程研究推進校」に指定され、算数の授業研究に力を注いだ。

高島雅展

校長 高島雅展先生

児童数: 349人

学級数: 14学級

TEL: 0761-22-0577

FAX: 0761-22-0781

所在地: 〒923-0964
石川県小松市今江町6-167

URL: http://www.hakusan.
ed.jp/‾imae-e/

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例 1】

石川県 小松市立今江小学校

学力調査を年間カリキュラムに反映させる

今江小学校は、年間カリキュラムの作成や授業研究、
日々の授業の指針として、学力調査を活用している。
また、それらの取り組みを文書化して残すことで、
ノウハウを共有し継続を図っている。一連の取り組みをレポートする。

学力調査の結果から「重点指導事項」を洗い出す

 「子どもの学力の実態を相対的・客観的に把握できるのが、学力調査の最大のメリット。本校では、その結果を年間カリキュラムに反映させる形で活用しています」と、今江小学校研究主任の林貴子先生は話す。今江小学校は、2004年度に石川県「評価を生かした学力向上推進事業」の指定を受けたことをきっかけに、算数を中心とした授業研究に取り組んでいる。その一環として、05年度には県と市が実施するそれぞれの学力調査の結果を年間カリキュラムに反映させる試みも開始した。
  「問題の形式に慣れていないこともありましたが、04年度に受検した学力調査の結果は総じて芳しくありませんでした。そこで、調査結果を基に国語と算数の弱い領域を洗い出し、重点的に指導することにしたのです」(林先生)
  学力調査結果の分析は受検対象学年の担任が行い、いったん研究主任に集約されるが、そこで明らかになった課題は、すべての教師で共有している。調査を受検しない低学年の教師も課題を共有することで、その根本的な要因を取り除けるかもしれないと考えたからだ。
  その共有プロセスの一つに位置づけられているのが、年間カリキュラムの作成だ。今江小学校では、分析の結果、弱いと判明した領域を「重点指導事項」として文書化し、その事項に関連の深い単元を年間カリキュラムに明示している(図1)。重点指導事項について、林先生は次のように説明する。
  「特に重点的な指導が必要な領域を含む単元については、時間配分や、どの授業に少人数授業やチーム・ティーチングを実施するか、またグループワークや個別指導はどのような形で取り入れるか、といった具体的な対策をクラス担任と少人数授業の担当教師とが話し合い、検討しました」
▼図1 調査結果を活用した年間カリキュラムの作成(4年生・抜粋)
クリックすると拡大します
図1
調査結果を分析して重点指導事項を洗い出し、年間カリキュラムの該当する単元を明示。それぞれの単元ごとに対策を講じる。「総合的な学習の時間」の単元から伸びる矢印は、その単元が矢印の先の単元と関連することを示している
  新年度からの重点指導事項は、前年度末に届く市の調査結果も反映した上で、作成される。そして、1学期末に届く県の調査結果を基に2学期以降の重点指導事項が見直され、年間カリキュラムが修正されるという流れだ(図2)。
▼図2 学力調査を活用した年間指導計画づくりの流れ
図2
市の学力調査と県の学力調査の実施時期の違いを利用。それぞれを「課題の洗い出しと指導計画の作成」、「取り組みの検証と修正」に振り分け、単元の系統性を確認しながら全学年の指導計画を立てて実践している
●05年度の学力調査の受検状況
【県の学力調査】
実施時期/ 4月
対象学年/ 4、6年生(悉皆)
対象教科/ 国・算・学習意識調査(4年生)、国・算・理・社・学習意識調査(6年生)
※学習意識調査は抽出
【市の学力調査】
実施時期/ 1月
対象学年/ 5年生(悉皆)
対象教科/ 国・算・学習意識調査
※04年度は5年生を対象とした抽出調査だった。今江小学校では5年生の1クラスが対象となったが、研究指定の予算を活用し、5年生の別のクラスと3年生の全クラスも受検した。

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