第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例3]岡山県 総社市立清音小学校

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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算数で成果を上げ国語の研究に移行

 算数の研究では、「総合的な学習」で実践して成果を上げていた少人数授業やチーム・ティーチングといった手法を新たに取り入れた。きめ細かくタイムリーな支援を心がけることで、子どもの理解を助け、「総合的な学習」で見られた意欲的な姿勢を引き出そうと考えたのである。更に、「数学的な考え方」の評価の在り方についても、「総合的な学習」の評価を参考に検討を重ねた。
  だが、このような研究を2年間続ける中で、単純に算数の対策だけを行っていても、効果に限界があることがわかってきた。授業を通じて一定の成果を感じ取れた面はあったものの、「読む力」の不足により、算数の問題文を十分に理解できない子どもが目立っていたのだ。そこで清音小学校では、04年度末の観点別評価や教師の意識調査、保護者アンケートの結果などを考慮した上で、改めて国語と算数の力を総合的に捉え、05年度以降は研究の中心を国語に切り替えることにした。
  「研究の重点を国語に移す一方で、算数の重点的な指導も継続しました。表れ始めた成果を途切れさせないため、05年度以降も授業時間を増やすなどの対策は怠らなかったのです」
  そうした取り組みに確信を得たのが、05年6月に5年生が受検した総社市による学力調査の結果だ。教師たちはその結果を振り返る。
  「算数のほぼすべての領域で市平均を上回る予想以上の結果が出ました。一方、今度は国語にやや課題が見られました。もっとも、03、04年度の調査では全国平均、05年度は市平均との比較ですし、ほかの学年は学力調査を受けていませんから単純には比較できません。それでも、研究の方向性が間違っていなかったことは確かめられました

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