第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例3]岡山県 総社市立清音小学校
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学習意識調査を参考に国語の中の研究領域を絞る

 これら一連の取り組みにより、子どもたちの国語に対する意識は確かな変化を見せ始めていた。しかし、教師の間には、「このままで良いのだろうか―」と、研究に対する疑問の声も上がっていた。各学年部が異なる領域を扱うため、どうしても研究が広く、浅くなってしまっていたのだ。それは、研究授業後の話し合いの際に、議論の深まりが見られないことに顕著に表れていた。そこで、06年度以降は、研究領域を更に絞ろうということになった。
  しかし、どの領域に絞るかという議論では、教師の意見が分かれた。1年間、各学年部が異なる領域を研究し、それぞれに課題が出てきていただけに、説得力のある意見が交わされた。そこで、各領域の学力の分析に加えて、児童の考えも考慮しようと、学習意識調査も参考にすることにした。
  05年度の学力調査では、国語は概ね良好な結果だったが、観点別に見ると「話す・聞く」に比べ、「書く」「読む」の結果がやや弱かった。また、05年度末に実施した観点別評価では、「書く力」に課題があることがわかった。それを裏付けるかのように、校内で実施した児童へのアンケートでは、「話す」「読む」に比べて、「書く」を好きと答える児童がやや少なかった。
  「これらを総合的に分析し、06年度からは全学年で『書く』の研究に取り組むことになりました。前年度の取り組みの良いところは引き継ぎながら、焦点を絞った深い研究を展開する考えです」(教務主任・横山克己先生)
  谷野博文校長も強調する。
  「相手の目を見て話が聞ける。校歌を大きな声で歌える。本校の子どもたちの成長は地域社会との連携に支えられています。これまで通り、地域社会で培った意欲や能力を教科学力につなげられるような授業を目指しながら、研究を深化させていくつもりです」
  学力調査を活用し、常に子どもの実態を把握しながら研究を進めてきた清音小学校。子どもの育ちを真剣に見つめながら研究に向かう教師と、それを素直に受け止めて伸びる子どもたちとの理想的な関係が清音小学校には根付いていた。

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