第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例4]大阪府 豊中市立大池小学校

School Data

大阪府 豊中市立大池小学校

1936年開校。大阪の繁華街・梅田から電車で10~15分の都市部に位置する。02年度から3年間「コミュニケーション能力」について研究。05年度から2年間は文部科学省から「国語力向上モデル事業」の指定を受けている。

西澤秀雄

校長 西澤秀雄先生

児童数: 721人

学級数: 26学級

TEL: 06-6848-0123

FAX: 06-6846-9614

所在地: 〒560-0021
大阪府豊中市本町1-7-12

URL: http://www.toyonaka
-osa.ed.jp/ohike/

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例 4】

大阪府 豊中市立大池小学校

学習意識調査の結果を生かし「心の豊かさ」を育む

学力は高いものの、集団活動から学んだり
友だちと協力し合う力に課題があるのではないか――。
大池小学校の教師が抱えていた不安が、学力調査の結果として表れた。
コミュニケーションや体験活動を通して心の豊かさを育む取り組みが始まった。

教科学力の高さに比べ「心の豊かさ」に課題

 大池小学校は、豊中市の指定を受けて2002年度から3年間研究した「コミュニケーション能力」に続き、05年度からの2年間は文部科学省「国語力向上モデル事業」の指定を受けている。以前から、コミュニケーション能力や、言葉の力を重視した教育を実践してきたが、06年度からは「心の豊かさ」の育成も視野に入れた「総合的な教育力」を研究テーマの中心に掲げている。そのきっかけになったのは学力調査だ。
  豊中市教育委員会が、「『確かな学力』向上推進事業」の一環として算数と国語の学力調査の抽出受検校を募ったのは、04年度のこと。西澤秀雄校長は、児童の実態を知るチャンスと考えて応募した。
  「本校の校区には教育意識が高い保護者が多く、教師も地域住民も、豊中市内では比較的学力の高い児童が多い学校だと思っています。しかし、感覚的に学力が高いという印象を持っていただけだったので、全国とも比較のできる学力調査を市の援助で受けられるのは、本校にとって大きなメリットがありました」
  結果は、算数、国語共に全国平均より高い数値が示された。
  続く05年度には、算数と国語に加えて学習意識調査も実施した。その結果、改めて教科学力の高さが示されたが、大池小学校はこれを素直に喜ぶことができなかった。返却された帳票には、教科学力が突出したいびつな形のレーダーチャートが描かれていたのだ。「生きる力」や「学びの基礎力」に関連する調査項目については、決して悪い結果ではなかったものの、教科学力とのバランスから考えると相対的に低い数値が並んでいた。例えば、「友だちと遊ぶ」という項目は市内平均を大きく下回っていた。
  「全体のバランスから見ると『心の豊かさ』に関する部分が少し低い結果となりました。この傾向は、高学年になるにつれて少しずつ強くなることもわかりました」(西澤校長)
  実は、大池小学校には、私立中学に進学する子どもの割合が市内でも比較的高いという事情がある。5、6年生になると、学習塾に通い始める児童も少なくない。保護者も、この時期は友だちとの遊びや体力づくり、道徳などに比べると、教科学力に対する関心が強くなる傾向にあるという。学習意識調査の結果は、このような背景が子どもたちの心にも反映していることをうかがわせるものだった。
●05年度の学力調査の受検状況
実施主体/ 豊中市
実施時期/ 1月
対象学年/ 3~5年生
対象教科/ 国・算・学習意識調査

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