第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例4]大阪府 豊中市立大池小学校
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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強みと弱みを見極め「総合的な教育力」を高める

 人とのかかわりを深め、心の豊かさを育むにはどうしたらよいのか。2回目の学力調査結果が出た06年2月、全教師にデータが配られ、研修部会を中心にした議論が始まった。
  「学習意識調査の結果は個々の教師が普段から感じていたことですが、数値で示されたことで更に問題意識が高まりました。数字で明確になった課題に対してはだれ一人として異論はありませんから、教師全員が同じ方向を向くことができます。研究に向けて皆の意識が引き締まったと思います」(西澤校長)
  検討過程では、大阪教育大助教授の田中博之先生から「強みを伸ばし、弱みを補強する取り組みをうまく組み合わせた総合的な教育力を大事にしたらどうか」とアドバイスを受けた。
  「本校の児童は、知的活動に対しては非常に熱心に頑張ります。これは間違いなく、本校の子どもたちの強みです。そんな子どもの良い点を上手に生かしつつ、弱みを補強することにしました」(西澤校長)
  そこで、研究を進めてきた「国語力向上モデル事業」と関連付け、
(1)言葉の力を育てる
(2)心を育てる
(3)協力・協同して活動する力を育てる

この三つを柱に据えた「総合的な教育力」を高める指導改革案を練り上げた。強みである教科学習の中でも、心を育む活動を積極的に取り入れる試みだ。
  「これまでは、読解力が弱ければ、『説明文を正確に読み取る授業に重点的に取り組みましょう』という具合に弱点別に対策を立てていました。06年度からは、そうした個別の対策ではなく、この三つのテーマを柱に、さまざまな場面で総合的な教育力を高めていくことにしました」(西澤校長)
  例えば、読解力を伸ばすにしても、グループ別に話し合う作業を授業にちりばめる。友だちの意見に耳を傾ける、互いに協力・協同して作業するといった場面を取り入れることで、思いやりや人とのかかわりを深めていく。

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