ベネッセコーポレーションでは1990年からほぼ5年ごとに、小・中・高生の学習意識や実態を把握するための「学習基本調査」を行っている。4回目となった06年の調査では、調査開始以来、一貫して減少し続けていた小学生の家庭学習時間が初めて増加に転じた。
今回の調査で最も大きな変化の一つは、1990年の調査開始以来、一貫して減少し続けていた家庭学習時間の平均が初めて増加に転じたことだ。 図1を見ると、90年時点で1日平均87.2分だった家庭学習時間は、01年までに15分以上減少し、71.5分にまで落ち込んだ。しかし、今回の06年調査では10分回復し、81.5分となっている。内訳を見てみると、01年には全体の4割にまで増加した「ほとんどしない」+「およそ30分」の層が、06
年には3割近くにまで減少し、逆に、2時間以上学習する層が増加していることがわかる。 1ページの年表に示したように、90年代は詰め込み教育への批判から、「ゆとり」教育が提唱された。しかし、その後の学力低下論争を受け、国の政策は02年の「学びのすすめ」の公表を契機に、「ゆとり」から「学力向上」へと転換した。そうした動きが、学校の指導にも少なからず影響を与えたと考えられる。 学校現場でも、ここ数年、宿題による基礎・基本の定着や、『家庭学習の手引き』を通じて保護者との連携を図るなど、家庭学習時間の増加に取り組んできた。実際に小学校の先生方にうかがってみると、「今回の調査結果に表れた家庭学習時間の増加は、そうした一連の学力向上の取り組みの結果だろう」との声が多く、この数字は納得感を持って受け止められているようだ。