耳塚 取り組みを進める中で、新たな課題も見えてきたのではないかと思います。特に昨今、家庭環境に起因する教育格差が話題になっていますが、いかがでしょう。
矢野 富士見小の校区では他地域からの転入者が増え、家庭環境に大きな違いが見られるようになりました。そうした状況でも家庭と連携し、いかに児童一人ひとりに家庭学習を定着させるかが課題です。
耳塚 鹿浜小では、前回調査からの家庭学習時間の伸び率が顕著でした。どのような指導を取り入れられたのでしょうか。
水野 保護者の意識の違いは、本校でも大きな課題です。そこで、家庭学習の進め方や学習計画の立て方を詳しく説明した「家庭学習の手引き」を配付しました。夏休み前には三者面談を行い、休み中の個々の課題や目標を保護者の目の前で「学習支援カード」に記入し共有しています。しかし、大切なのは家庭に任せきりにしないことです。例えば、夏休みの宿題も休み中に提出させ、進度の遅い子どもは学校に呼び、教師と一緒に取り組ませています。保護者から「帰宅後、遊びに行く前に勉強するのが習慣になった」という声が徐々に寄せられるようになっています。
永野 浪江小の校区では昔ながらの地域社会が保たれていることもあり、保護者の意識に極端な違いはありません。それでも以前よりひとり親の家庭が増えるなど、家庭環境は変わりつつあります。朝食を食べずに登校する子どもも少なからずいます。教師が家庭学習の不足を感じたときは、「リピートタイム」という個別の補充指導で支援しています。
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